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ドジャースは数字上でも”規格外“…MLBの投手指標を活用して見えた強さの理由は…?【コラム】

2025/02/14

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■Stuff+(フォーシーム)

・対戦打席あたりの奪三振割合から対戦打席あたりの与四球割合を引いた指数
 
 Stuff+は球速、スピン量、リリースポイントなどの球種の物理的な特徴からその効力を測定する指標だ。どのように打たれたか、守備が成功したかなどの投手がコントロールできない要素をそもそも計算にも入れていないため完全に排除することができる。Stuff+は平均を100として、高ければ良く、低ければ悪くなる。
 
 投球の基本となるフォーシームで重要となるのは主に球速と縦変化量だ。ボールが速ければ速いほど打者は対応に苦慮するし、縦変化が多いほど打者はボールが浮き上がるような錯覚に陥りボールの下を空振りしてしまう。
 
 この2点を両立するマイケル・コペックは球界屈指のフォーシームを持つと言える。結果にも表れており、コペックのフォーシームの空振り率は34.2%でオークランド・アスレチックスのメイソン・ミラーに次ぐ値である。
 
 また、ユニークなのがアレックス・ベシアのフォーシームだ。躍動感のあるフォームから繰り出されるフォーシームは球速こそ93.4マイル(約150キロ)とリーグ平均以下だが、スピンをかけるのが非常に上手く縦変化量は20インチを超える。
 
 ゆえにベシアのフォーシームは球界12位の空振り率28.3%を実現している。反対にブレイク・トライネンのフォーシームは球速が平均程度、縦変化が平均を大きく下回るため非常に低いStuff+を示している。
 
Stuff+(フォーシーム)
 

 

■Stuff+(変化球)

 
 変化球の効力を測る上で考慮されるのも、球速と変化量だ。注意が必要なのはここで言う球速とは投手の速球と比較した相対的な球速も含むということだ。
 
 打者は速球にタイミングを合わせてバットを振るため、それに近い球を変化させながら投げれば空振りを奪いやすくなる、という理屈だ。
 
 ゆえに例えば同じ85マイル(約136キロ)のスライダーでも投手の速球の球速が異なる場合、違った評価をされることがある。また、変化量も球速と同様に大きな要素だ。特にスライダーにおいてはスイーパー系なら大きな横変化、ジャイロスライダー系ならマイナスレベルの”落ち”があればよいだろう。
 
 ドジャース投手陣ではジャスティン・ロブレスキー、アンソニー・バンダ、コペック、ベシアのスライダーが高く評価されている。TOP3に共通するのはマイナスレベルの縦変化があることだ。
 
 唯一それがないベシアは、速球との球速差を縮めることでStuff+を維持している。反対にジャック・フラハティ―のスライダーは速球との球速差は小さいが、変化量が平凡なため低い評価を受けている。
 
Stuff+(変化球)

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