ドジャースは数字上でも”規格外“…MLBの投手指標を活用して見えた強さの理由は…?【コラム】
2025/02/14
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球種ミックスの多様性
特に先発投手にとっては、1試合で約3回同じ打者と対戦する必要があるため、自分の球種ミックスに多様性を持たせることも重要となる。
今オフFAとなった先発投手の中で全く違う道をたどった投手としてマックス・フリードとジャック・フラハティ―がいる。
31歳のフリードはニューヨーク・ヤンキースと8年2億1800万ドルという大型契約を勝ち取った。
一方で、29歳と2歳も若いフラハティ―は2024年に結果を残し、1億ドル超の大型契約を狙って2月まで待ったが、結果的にはデトロイト・タイガースとのオプトアウト付き2年3500万ドルの契約に落ち着いた。この2人の違いは何だろうか。
1つは実績だろう。フリードは過去5年で2回サイ・ヤング賞投票を獲得、2022年は2位につけたのに対して、フラハティ―は2019年にサイ・ヤング賞4位につけたのみで、その後はオールスター出場歴もない。
長期的な視点で見たとき信頼できるのはフリードだろう。しかし2024年の成績だけを見れば2人の間に大きな違いはないし、Stuff+を見てもほぼ同じである。
ゆえに、2年3500万ドルという契約額はかなり少なく見受けられる。単純に契約額で比較すれば、2024年に30試合に先発し防御率4.84だったフランキー・モンタスがニューヨーク・メッツと結んだ2年3400万ドルと同じだ。
メジャー30球団はなぜ、フラハティ―に高額契約を渡すことをためらったのだろうか。逆にフリードのどの部分に2億ドル超えの価値を見出したのだろうか。
再契約を強く希望していたフラハティ―と先発投手不足にあえいでいたドジャースには双方にメリットがあったはずなのに、早期に方針転換を行いブレイク・スネルとの契約に転じた理由は何か。ここで見られるのが球種ミックスの多様性である。
フラハティ―は平均93.3マイル(約150キロ)のフォーシームを基軸にナックルカーブ、スライダーの3球種が投球の95%を占める。
少ない球種で勝負するブレイク・スネルやジェイコブ・デグロムのような圧倒的な球威があるかとなると、厳しいと言わざるを得ない。
また、今後も球速が大きく上昇することは考えにくく、年齢を重ねるにしたがって下がっていく確率の方が高い。
球威が平均程度であるという点で共通するフリードは、これらを球種の多様性でカバーしている。フリードの投球の3割はフォーシームが占めるが、残りの7割はカーブ、シンカー、チェンジアップ、スイーパー、カッターと文字通り7色の魔球である。
また、チェンジアップを除いた全球種が平均以上のStuff+を示している。多様な球種を投げることは身体能力とあまり関係なく、年を重ねてもフリードのパフォーマンスは維持される可能性が高い。
フラハティ―とフリードは球威が平均程度と言う点で共通点を持っている。表面上の成績を見れば同じような契約をもらってもおかしくはない。
しかしフラハティ―は球威をカバーできる球種の多様性が無かったために、オフの契約探しでは苦労した。1年目終了後のオプトアウト権付きの契約のようだが、2025年シーズンに球威でも球種の多様性でもないスキルを持っていることを証明できれば、望む大型契約をゲットできるかもしれない。
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