恩師と球友が証言するイチローの高校時代。鈴木一朗は「高校レベルの練習は中学で終えていた」
現地8月7日のロッキーズ戦でMLB通算3000本安打を達成したイチロー。高校時代をよく知る恩師・球友の話から、いかにプロという舞台を見据えて練習に取り組んできたかが見えてくる。
2016/08/08
産経新聞社
613打席でたったの20個。異常な三振の少なさ
130試合制の時代の94年、NPB史上初となるシーズン200本安打を達成したシーズンから22年。これまであらゆるメディア、関係者がイチローを語ってきたが、「鈴木一朗」時代を語れる者となるとごく限られる。
その中の1人、愛工大名電時代の監督、中村豪氏に過去に2度、長い“イチロー取材”をしたことがある。雄弁な師の口からは印象的な言葉がいくつも語られた。
「これが本当に噂の鈴木一朗?そんな感じでしたね」
初対面の印象を中村は驚きの表情と共に口にした。熱烈な名電ファンから「打っても凄い、投げても凄い、レベルが違う。すげーのがおる」と聞いたのはイチローが中学2年の冬のことだった。しかし、中村が直接見る機会を作れないまま、翌年になると軟式野球の全国大会で3位にもなり「豊山中の鈴木」の名は一気に県内に広まった。
その夏が終わり、イチローが父と共に名電の練習見学にきた。その時だ。
170センチ、55キロ。30年近く前とはいえ、いかにも華奢な体に拍子抜けした中村は思わず、先の一言を心の中で呟いたのだ。