恩師と球友が証言するイチローの高校時代。鈴木一朗は「高校レベルの練習は中学で終えていた」
現地8月7日のロッキーズ戦でMLB通算3000本安打を達成したイチロー。高校時代をよく知る恩師・球友の話から、いかにプロという舞台を見据えて練習に取り組んできたかが見えてくる。
2016/08/08
産経新聞社
打撃面に加えて、卓越していた走塁の巧さ
改めてそう表現した中村の言葉に納得だが、打者イチローと共に最大限の評価を繰り返したのは走者イチローについてだった。高校通算151試合で131盗塁。
「スピードもありましたがそれ以上に決断力と、投手の間合いやクセ、配球を見切る観察力。とにかく飛び出しが早いからだいたいの盗塁は完璧なセーフでキャッチャーが投げないケースも多かった」
当時のチームメイト高田広秀に話を聞いた際も走者イチローの思い出を熱っぽく語ってきた。
「他の選手よりも一歩先に出て、一歩先に帰る。それにベースに戻る時は絶対に足から。イチローのユニフォームが汚れている記憶が僕の中にはないですし、少なくとも三盗の時にスライディングした姿を見た覚えもない」
強調したのはスピード以上にスタートセンス。さらに高田は「イチローって、牽制で挟まれた時に1回もアウトになったことがないんです」と走者イチローの思わぬ一面についても語った。どういうことか。
「普通、挟まれたランナーって最後は自分から外れていってタッチアウトになる。でも、イチローは、粘って、最後は真っ直ぐそのまま走って相手を突き飛ばす。真っ直ぐ走っているから守備妨害にもならない。あんなことをする選手を僕はイチロー以外に見たことがない」
高田がこのプレーを初めて見たのは2年の時の練習試合だったが、1度だけではなかった。
「しかも、最後にたどり着くのが元いた塁じゃなく、必ず次の塁」
イチローの勝利への執念と冷静なジャッジが詰まった走塁として印象に残った。