恩師と球友が証言するイチローの高校時代。鈴木一朗は「高校レベルの練習は中学で終えていた」
現地8月7日のロッキーズ戦でMLB通算3000本安打を達成したイチロー。高校時代をよく知る恩師・球友の話から、いかにプロという舞台を見据えて練習に取り組んできたかが見えてくる。
2016/08/08
産経新聞社
「高校レベルの練習はもう中学校時代に終わっていた」
打者として、走者として数々の伝説を刻んだ高校時代のイチローについて、一番の凄さは?と高田に聞いてみた。すると3年間を寮で過ごした球友は人懐っこい笑顔を共に返してきた。
「練習せずにあそこまでできること(笑)」
曰く
「中村監督さんたちは、イチローは陰で練習していたとよく言われますけど、陰でっていうのは見たことないから陰(笑)。いつも寮の一番風呂に入っていたのはイチローでしたから」。
さらに……。
「普段もピッチャー練習が中心ですからランニングや体幹強化のトレーニングなんかでも、周りの目の届かんところでだいぶ休んどったはず。あとで聞いたら本人も『高校時代はいかに楽して練習するか、そればっかり考えていた』と言ってましたから」
ここまでを聞きながら当初、イチローにもその他多くの高校球児と変わらぬ一面があったのだろうと、どこかホッとした気分になりかかっていた。ところが、それでは「イチロー」にはなれなかった。高田はやはりのちにイチローから聞いたという、高校時代ガムシャラに練習しなかった理由を明かした。
「高校レベルの練習はもう中学校時代に終わっていたから。高校時代に必死にやる必要はなかった」
愛工大名電での3年間も、それ以前の時間も、すべてはプロの世界で活躍するためのもの。考えうるすべてのことをやり尽くし、18歳の鈴木一朗は活躍の舞台を次なる場所へと移していったのだった。