【MLB】アメリカ高校野球、肩・肘の酷使問題対策で球数と登板間隔をルール化
短期間で膨大な球数を投げることになる甲子園は、アメリカから奇異の目で見られることも多い。ついにアメリカでは、州ごとに高校生の球数と登板間隔の制限を行うことを決定。若い才能を守るために動き出している。
2016/07/27
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甲子園で話題に上る投球数
7月下旬を迎え、全国高等学校野球選手権大会(通称:夏の甲子園)への出場を決める学校が続々出てきている。日本の夏の代名詞ともいえる甲子園、その中でも近年話題となっているのが選手の投球数についてだ。
負けたら終わりの甲子園だけに、大会中は全ての試合をエース投手が投げ切ることも多く、その球数は膨大なものになる。
例をあげれば、ハンカチ王子として話題になった06年の斎藤佑樹(当時早実)は、初戦の行われた8月6日から決勝再試合の21日までに69イニング、948球を投げている。現楽天の安楽智大は、チームが準優勝した2013年春の甲子園で全5試合に先発登板し、772球を投じた。
こうした起用法は特に、海の向こうでも度々トピックスとして取り上げられる。
アメリカでは、特に成長段階である若い世代での投げすぎ、肩や肘の酷使は重大な故障に繋がるとして、リトルリーグから注意を払っている。そうした考え方を持つアメリカからすれば、まさに日本の甲子園は「crazy」に映るともいう。
アメリカでは、メジャーリーグに渡った日本人投手の故障率が高いのは、高校時代の登板過多の影響が大きいと見る向きも根強い(因果関係が証明されているわけではない)。現在テキサス・レンジャースに所属するダルビッシュ有投手も、中学硬式野球で投球制限のガイドラインが発表された際、自身のTwitterで、「素晴らしいですね。高野連は動かないんでしょうか」と発言していた。
日本では、いまだ議論に留まっている投球制限。一方、アメリカでは具体的な制度設定が進んでいる。今年6月、州の高校体育連盟を統括する団体である、NFHS(The National Federation of State High School Associations)米国州立高校協会の野球規則委員会は、2017年シーズンから州ごとに球数制限と登板間隔規制に基づく投球制限を行うことを決定した。