【MLB】イチロー、好球必打で蘇った打撃。四球率急上昇が意味するアプローチの変化
今季好調のイチローだが、数字の内容を比較するとこれまでとアプローチが違うことがわかる。
2016/07/26
Getty Images
打撃復調もこれまでのシーズンと中身が違う
今シーズンのイチロー(マーリンズ)は、現地4月29日に達成したメジャー500盗塁に続き、3000安打も確実としている。さらに、規定打席には程遠いとはいえ、4年ぶりの打率3割台も間違いなさそうだ。7月24日時点の打率は.339で、200打席以上の262人中3位にランクインしている。仮に、ここから100打数24安打(打率.240)だったとしても、シーズン打率は3割台(.302)となる。
直近の3シーズン(2013~15年)とも、イチローは打率2割台に終わり、昨シーズンは2割5分にすら届かなかったが、メジャー最初の10シーズン(2001~10年)はすべて3割を超えていた。打率だけを見る限り、今シーズンは打撃が甦ったと言っていいだろう。もっとも、これまでと今シーズンの打撃は同じではない。直近の5シーズンのみならず、最初の10シーズンとも異なっている。
そのことは、出塁率によく現れている。今シーズンの出塁率は.415。こちらは200打席以上の6位だ。打率と出塁率の両方ともイチローの上をいくのは、アストロズのホゼ・アルトゥーベ(.357/.426)しかいない。
イチローは過去に1度だけ、2004年に4割台の出塁率(.414)を記録している。ただ、この時は打率が.372と極めて高かった。他に打率3割6分以上は一度もなく、3割5分台は3度(2001、07、09年)あるものの、出塁率はいずれも4割未満だった。
過去15シーズンと今シーズンの違いは、四球の頻度だ。これまでの四球率(打席に占める四球の割合)は2002年の9.3%が最も高く、他はすべて7.5%に届かなかった。それに対し、今シーズンは10%を超えるどころか、11.1%に達している。
四球が増える要因の一つには、対戦相手からの警戒がある。けれども、パワーヒッターではないイチローの場合、シングルヒットでも試合の帰趨が決まる場面などを別にすると、この要因はあまり当てはまらない。