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ドジャース投手陣にも影響!?今シーズンのピッチングに変化をもたらす “投手トレンド”とは【コラム】

2025/04/16

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フォーシームの衰退

レッドソックス・ウォーカー・ビューラー
 
 この「球種の数を増やす」という流れは、裏を返せば使用割合が減る球種が存在することを意味する。そのあおりを最も受けそうなのがフォーシームだ。長年フォーシームは投球の「基本のキ」として扱われ、リーグ全体の投球割合でも過去15年は3割台を保ってきた。
 
 しかし近年は、「悪いフォーシームをわざわざ投げる必要はない」との考えがリーグ全体で定着しつつあり、2024年は投球トラッキングが始まった2008年以降最小のフォーシーム割合31.8%を記録した。今年は4/9時点で32.7%と若干持ち直しているが、依然として低い水準に抑えられている。
 
 このアプローチを最も積極的に採用しているのがボストン・レッドソックスだ。2024年シーズン前に新しい投手コーチ、パトリック・ベイリーが加入すると、前年26.8%だったフォーシーム使用率を18.8%まで下げた。
 
 個々の選手に目を向けると、タナ―・ハウクやギャレット・ウィットロックはもともとそれほど投げていなかったフォーシームを完全に捨て、シンカー/スライダーコンボに転換した。
 
 今季ではドジャースから移籍加入したウォーカー・ビューラーが全盛期45%あったフォーシームの割合を昨年の29%からさらに下げ、26%になっている。
 

 

キックチェンジ

 1球種追求の時代は終わりつつあるが、流行する球が無くなったわけではない。2020年からMLBではスイーパー、スプリットと流行った。そして今季の新トレンドになり得る可能性があるのがキックチェンジだ。
 
 キックチェンジは米民間トレーニング施設『Tread Athletics』で発見されたチェンジアップの一種。コーチの移籍やSNSなどを通して広がり、すでにヘイデン・バードソング、アンドレス・ムニョス、ジャック・ライター、ランドン・ナックと多くの球団の選手が実戦での使用を行っている。
 
 ”キック”とは投手がボールをリリースする際に下向きの力をかけるところからきている。キックチェンジの特徴は平均的なチェンジアップとしては速い89-91マイルの球速帯ながら、通常より大きく落ちることだ。
 
 速球系にタイミングを合わせる打者に対して、速球系に近い球速帯で落ちる球を投げれば空振りを奪いやすくなる。
 
 また、新しいグリップの登場はこれまでフォームや手の大きさからチェンジアップを上手く投げられなかった投手が新たな武器を手にすることを意味する。
 
 これまでのスイーパー、スプリットのようにキックチェンジもMLBを変化させる新たなトレンドになるかもしれない。

 

 
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