【ド軍番米国人記者の眼】「前田健太は大物」チームメイトも評価。1年目からメジャーに適応する、高いリカバリー能力
ロサンゼルス・ドジャースの前田健太が1年目で2ケタ勝利をあげた。相手に打たれても、次の試合までに修正して対応できる、その能力の高さこそ前田の武器だ。
2016/08/11
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女房役が語る前田のすごさ
ついにその時を迎えてしまった。ロサンゼルス・ドジャースの前田健太は7月、開幕以来最悪となるプレーを見せてしまった。
それは7月17日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で起こった。前田は4回1/3を7安打5失点と自己ワースト。1試合で5イニングを投げきれなかったのは、今シーズン、これがわずか3度目だった。ただ、いずれの試合も対戦相手はダイヤモンドバックスだった。
試合は7-8で敗れ、前田に黒星がついた。そしてダ軍は「我々は前田の攻略法を知っている」という強いイメージを前田に与えた。おそらく他球団にも、前田本人にも、対戦相手の攻略法はあるだろうが、ダ軍のそれは、前田を上回っていたことになる。
それでも前田は、これに動じることなく、この窮地に一般的な方法で対応した。つまりゲームプランの変更だ。そして彼はその後、最高の投球を重ねて名誉挽回した。ドジャースのヤスマニ・グランダル捕手がこう語る。
「シーズン序盤は、前田の情報が少ない分、彼が有利だ。前田のスライダーとカーブを投げるだけで、打者を十分翻弄できた。そしてその後、打者が前田に慣れた頃、彼は他の変化球も織り交ぜてさらに翻弄したんだ。打者が対応に苦しむはずだ」
加えて前田は、グランダルやド軍のリック・ハニーカット投手コーチらとの試合前ミーティングにも、以前より積極的に発言するようになったという。残り22試合を控えた現在、前田もメジャー1年目ながら、自分の強みと弱みを把握できた証拠だろう。
「開幕当初と比べると、僕も打者に対する情報が頭に入ってきました。相性が良い打者も、悪い打者も把握しています」(前田)
ダイヤモンドバックス戦を苦い記録で終えた前田は、その後、初対戦となるセントルイス・カージナルス戦に登板した。5回2/3を投げ5安打2失点、無四球。7-2の勝利に貢献し、9勝目を挙げた。