【ド軍番米国人記者の眼】「前田健太は大物」チームメイトも評価。1年目からメジャーに適応する、高いリカバリー能力
ロサンゼルス・ドジャースの前田健太が1年目で2ケタ勝利をあげた。相手に打たれても、次の試合までに修正して対応できる、その能力の高さこそ前田の武器だ。
2016/08/11
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まだまだ進化する
そして7月29日。今度は本拠地で、再びダ軍との対戦を迎えた。前田は前回に比べて、スライダーを多用せず、シンカーを駆使。球速も以前より増していた。球速の差はわずかとはいえ、フォーシームは94マイル(約151キロ)、シンカーは92マイル(約148キロ)。前回との違いを見せつけるには十分だった。
その結果、6回1/3を4安打2失点5奪三振無四球。前田に勝敗はつかなかったが、ドジャースは9-7で勝利を収めた。
そして8月4日にはコロラド・ロッキーズと対戦した。過去に2度対戦経験があり、その2試合とも失点はわずか1点にとどまっていた。だが、この時のロッキーズは、直近13試合中11勝と、非常に勢いに乗っていた。
その勢いも、前田の前には通じなかった。5回2/3を4安打2失点5奪三振無四球。実力にも増して安定感も抜群で、遂に10勝目。さらに9日のフィリーズ戦でも5回を6安打2四球4三振3失点で今季11勝目を挙げた。
スピードや投球パターンの微修正で課題に対応できる前田のリカバリー能力は、まさに壁にぶつかった時の克服法を熟知しているという意味をもつ。その能力の高さこそ、前田の真価が現れていると言える。
私には未来を予測する力はないので(読者の方々も皆そうだと思うが)、前田が今後2カ月どうプレーするのかを妄想するのはよしておこう。しかし、自身最悪のパフォーマンスを経験した前田が、今後もそれを糧に、さらなる進化を遂げるのだろうと予想することは非常に簡単だ。
そして、グランデルのこのコメントを見れば、十分に納得してもらえるのではないだろうか。
「前田は、メジャーリーグで十分通用する球種を持っている。だから彼は今この舞台に立っている。もちろん日本でも大きな活躍もできただろうが、MLBには、世界最高の選手が集まってくる。きっと、日本の打者よりもタイプも多様で、より賢く、実力も上なのではないかと思う。そんな打者を前に、毎試合ごとにわずかな変化で対応できる前田は、大物の証拠だ」