藤川球児はベストな球団を選択した――トミー・ジョン手術を受けた投手の再生に実績のあるレンジャーズ
藤川球児のレンジャーズ入りは秒読みの段階に入った。手術から完全復活を目指す来季。藤川にとっては、手術からの投手再生に実績があるチームへの入団は非常に大きい。
2014/12/15
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レンジャーズは、手術歴のある選手を積極的に獲得する
そこに目を付けたのがレンジャーズだった。
今季は中継ぎのチーム防御率が4.02で、30球団中24位と低迷。67勝95敗で、リーグワースト勝率.414の地区最下位に沈む要因となった。加えて実績のあるオガンド、コッツらはFAとなり、20代半ばの実績ない選手がほとんどとなった。
ジョン・ダニエルズGMはウインターミーティング中に「例えば今季途中までうちにいたフレーザーのような、ベテランで、経験豊富で、安定した投球ができるリリーバーがうちには必要だ」と話していた。
レンジャーズはもともと、トミー・ジョン手術を受けた投手の再生に実績もある。
それまで160セーブを挙げていたロイヤルズの元抑えのホアキム・ソリアーが12年4月に同手術を受け、オフには残り2年間の選択権を球団側が破棄しFAに。迷わず獲得に乗り出し2年契約を結んだ。
開幕はDLで迎えたが、手術から15カ月を経た7月にメジャー昇格。用意したリハビリプログラムに沿って周到なステップを踏ませ、その年は重圧のかからない中継ぎで起用した。機は熟したと見て今季はクローザーに抜てき。7月下旬にタイガースへトレードされるまで、32試合で17セーブ、防御率2.70と見事再生を果たした。
移籍したソリアーの後を受け後半戦からクローザーに復帰したフェリスも、12年8月にトミー・ジョン手術を受けていた。2年の時を経て抑えに戻り、以降のシーズンで13セーブを挙げ防御率1.99と、こちらもかつての輝きを取り戻した。
手術歴を嫌う球団もあるが、レンジャーズは再生に自信を持っている。逆に本来の価値よりも安い年俸で獲得しやすいと、肯定的にさえ捉えている向きがある。
実績あるスタッフの元、親交の深いダルビッシュ有とチームメイトとなり、勝負のシーズンへ向かう。強烈なスピンが球速以上の威力を生み、打者にはホップしているのではないかとさえ思わせる火の玉ストレート。ストレートを待っていても打てないと言わしめたファイヤーボール。
チームも、本人も、その完全復活を疑っていない。