【ド軍番米国人記者の眼】前田の一時的マイナー降格の背景。出来高に絡んだ球団側のビジネス的意図も?
ロサンゼルス・ドジャースの前田健太は現地23日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦に登板後、一度マイナー降格となり、29日にメジャー再昇格を果たした。ドジャース側にはどのような目的があったのか?
2016/08/31
Getty Images
ルールを巧みに利用し、休養日を1日増やすことに成功
驚きの指令が下された。メジャーリーグ、ロサンゼルス・ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、前田健太のことを「クレイトン・カーショウに並び、チーム屈指の安定した投手」と評価したその2日後に、その前田をマイナー降格させた。
前田が不振に陥ったからではない。だが、球団幹部にも責められない事情があったのだ。彼らは、ロースター枠を温存するという、MLB規約の抜け穴を巧みに利用しただけなのだ。
現段階のナショナルリーグにおいて、前田よりも白星が多い投手は、わずか6名。さらに前田の防御率(3.38)は14位、ルーキー投手に限定すればナリーグ首位だ。なのに、なぜ彼を、降格させたのか。
その答えは、ルールブックをめくれば明らかだ。
18歳から21歳の選手が大半を占めるアリゾナリーグ。そのシーズンは先週日曜(現地時間28日)で幕を閉じた。通常メジャーリーグの選手がマイナー降格すると、最低10日間はメジャー昇格ができないが、マイナーリーグの選手は、ロースター内にいれば、シーズンが終わった直後からいつでもメジャーに復帰可能なのだ。
その間、ドジャースにはロースターに1枠、空きができることとなり、さらに、前田には1日余分な休養日が与えられる、一石二鳥の裏技となった。マイナーリーグに所属となった前田は、この間ドジャー・スタジアムでの練習は認められないが、実際にアリゾナまで足を運ぶ必要もなかった。
今回の決断にあたり、前田の反応について、ロバーツ監督は「彼は状況を理解してくれた。問題ない」と語っている。
予定どおり月曜(現地時間29日)にはドジャースに合流、コロラド・ロッキーズ戦に早速先発して、5回2失点で8敗目を喫した。メジャーリーガーという肩書きを3日間失う以外には、特別変化はない。