【MLB】「2016年、ホセを再び見ることはないかもしれない」。マーリンズ、エース最後の登板での実況がまさかの現実に
イチローを慕い、いつも無邪気で笑顔を見せていたマーリンズのエース、ホセ・フェルナンデス選手が突然の事故で死亡。メジャーリーグ全体が、短くも輝いていた彼の人生を振り返っている。
2016/09/29
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キューバから亡命してきたアメリカン・ドリーム
『ESPN』のこのポッドキャストではこの後、マーリンズのドン・マッティングリー監督やチームメイトであるプラド、そして昔のコーチなどの会見を流した。みんな、「ホセはとにかく野球が好きだった。リトルリーグの少年のように、無邪気で、ひたすらプレーすることに幸せを感じていた。まだ信じられない。言葉にできない悲劇だ」と語った。
プラドによると、フェルナンデス投手は、先週火曜日のナショナルズ戦での投球が、「これまで投げてきた試合の中で自己最高の出来だった」と他の選手に話していたという。また、サムソン球団代表は次のような言葉を述べている。
“The magnanimity of his personality transcended culture, religion, and race. I mean it just did. His story is a story well-told, and it will be told forever. And when you talk about somebody whose personality could outshine his talent, normally it’s the other way around, and in this case his love of family, the game, and being Jose…
彼の性格の寛大さは、文化、宗教、人種を超越していた。本当にそうだった。彼の人生は物語に値するもので、永遠に語り継がれていくであろう。彼の場合、才能よりもその人格こそが素晴らしかった。普通なら、その反対なのに。彼の場合、それは、家族への愛、野球への愛、そしてホセがホセであることを意味していた。
球界でこれほどの苦難を乗り越えてスターになった選手はいないであろう。キューバに生まれ、3度もアメリカ亡命に失敗し、牢獄に入れられたこともあった。航海中、一度大波で傾いた船から母親が海に落ちた時、飛び込んで母の命を救ったのも15歳のホセだった。やっとたどり着いたフロリダでは、自由を手にしたものの、何年も孤独な日々を過ごし、キューバの牢獄に戻りたかった日もあると言う。メジャーリーグに昇格し、多くの打者から三振を奪う様子を、キューバにいるお婆さんは、ラジオでしか聞けなかった。しかも電波の調子が悪い時は屋上に上ってまで孫の活躍を聞いていたという。
そのお婆さんも家族もキューバから連れ出し、この自由の国で、最も優れたピッチャーのひとりになった。アメリカン・ドリームを命がけで手にしたフェルナンデス、誰に対しても笑顔を絶やさなかったフェルナンデスは、いつしか誰からも好かれるスーパーヒーローになっていた。
数日前、ホセ選手自身が、自分のインスタグラムに、妊娠したガールフレンドの写真を掲載していた。球団によると、生まれてくる赤ちゃんは女の子らしい。その写真にフェルナンデスはこうコメントしていた。
“I’m so glad you came into my life. I am ready for where this journey is going to take us together.
君が僕の人生に加わってくれてとってもうれしい。この道、どこへ向かって我々が共に旅するかわからないが、準備はできている。
出典:”Unthinkable Tragedy” and “Gone Too Soon” @ESPN Baseball Tonight with Buster Olney (podcast), September 26, 2016