主力選手の放出はチームの解体にあらず アスレチックスGM補佐が語るマネーボール流編成術【豊浦彰太郎のMLB on the Web】
今オフに次々と主力を放出したアスレチックス。しかしこれはギブアップや解体・再建を意味するものではない。マネーボール式の勝ち続かるための球団編成術とは?
2014/12/23
優れた戦力以上に、故障者の少ないチームを
ここで見落としてはならないのは、アスレチックスは単に主力選手を放出しただけでなく、それなりに期待度の高い若手を交換で獲得しているということだ。
確かに、「イン」と「アウト」を現時点での実力で比較すると戦力低下は否めないが、「イン」のうち、何人かが来季ブレイクする可能性は十分だし、今季故障で棒に振ったジャロッド・パーカー、A.J.グリフィン、ドリュー・ポメランツらの本来ローテーションの中核をなすべき投手が、来季は復帰してくるのだ。そして、若返ったことにより故障のリスクは低下している。
長丁場のメジャーリーグ公式戦を勝ち抜くのは、優れた戦力を備えたチームより故障者が少なかったチームだとも言えるだろう。そして、低予算球団にとって大事なのは、スターを引き止めることに固執して必要な補強資金を失ってしまうことだ。
ショーンフィールド記者はこうも記している。
Oakland’s estimated payroll currently sits around $67 million, about $15 million less than 2014, so don’t be surprised if the A’s have another move or two coming.
オークランドの年俸総額は、現時点でおよそ6700万ドル(約79億7000万円)で、今季のそれより1500万ドル(約17億9000万円)少ない。(それを原資に)あとひとつやふたつトレードを仕掛けても(戦力強化を図っても)驚くには及ばない。
そういえば、11年のオフにエース格のトレバー・ケイヒル(現ダイヤモンドバックス)やジオ・ゴンザレス(現ナショナルズ)を次々に放出した時も、ひたすら年俸総額の低減を目指すものと思っていたら、4年総額3600万ドル(約42億8000万円)もの大金を張ってキューバからの亡命選手ヨエニス・セスペデス(現タイガース)を獲得した。12年は、ケイヒルらとの交換で獲得した若手やセスペデスの活躍で、6年ぶりのプレーオフ進出を果たしたのだ。
やはり、アスレチックスから目が離せない。
出典:”In defense of Billy Bean and the A’s” @ ESPN by David Schoenfield in Dec. 12, 2014