【ド軍番米国人記者の眼】10月だけ1勝もできず……それでも前田健太とドジャースが来年に前向きな理由
ロサンゼルス・ドジャースでの1年目を終えた前田健太。ポストシーズンでは打ち込まれたが、来季へ前向きだ。
2016/11/03
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前田、来季へ前向き
この試合までに、ド軍ブルペンは息をあげていた。この時点では誰も先発登板を代わることができないほど、リリーフ陣は酷使されてしまっていた。
しかし、ポストシーズンで前田に負担を押し付けるのは不公平だった。レギュラーシーズンを振り返っても、中4日で先発した時の前田の成績は6勝6敗、防御率3.97。中5日での成績6勝4敗、防御率3.01に比べて随分と劣るのだ。
勿論、プレーオフにおいて休息を余分に取る余裕は許されない。速球を打つのにかけては世界最強レベルのカブス打線だったとしても、球団は前田で勝負をするしかなかったのだ。その前田は、この時点で球速93マイル(約150キロ)以上の速球を投げることができなくなっていた。それがカブス打線に付け込まれる結果となったのだ。
ポストシーズンを除けば、前田のルーキーイヤーは輝かしい結果で締めくくることができた。ナリーグ新人王の候補として十分の活躍を見せてきたのだが、残念ながら、今となっては、最大候補からは外れ、現在は、ド軍のコーリー・シーガー、ナ軍トレイ・ターナーのいずれかが受賞するのではないかと見られている。
だが来シーズンへ、前田は前向きだった。今シーズン、最も大切なことを学んだと語っている。
「自分の体がどう感じ、何を乗り越えるのか。試合ごとにそれを芯から理解するのが、シーズン最も大変でした。ですが、自分の体にとことん向き合った分、この経験が来年には活きると思います」(前田)
今季、前田は先発試合数、投球イニング数、奪三振数において、チームトップの成績を挙げた。シーズン前には誰も予測しなかった数字だ。そして自身、出来高給として900万ドル(約9億4000万円)も稼ぎ出した。
総額1200万ドル(約12億5千万円)の高額年俸ながら、前田はメジャーリーグの基準では「お買い得」な投手となった。球団のアンドリュー・フリードマン編成部門取締役は次のように前田を評価した。
「調整方法や、人柄、勝負に対する姿勢には尊敬できる面が数多くあった。何より、今後のチーム育成に非常に役立つヒントを沢山教えてくれた」