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「チャレンジ・システム」導入の成功は、今後のMLBの野球を変えるか?【豊浦彰太郎の MLB on the Web】

昨季からビデオ判定の対象が拡大された。ファンは概ねこの変更を受け入れているようだ。これも時代の流れとして定着すると思われるが、人工芝球場のように、かつてはもてはやされながら結局否定されたものもある。

2015/01/04

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2014年より適用された、ビデオ判定の拡大

 2008年に本塁打判定限定で導入されたビデオ判定は、2014年から「チャレンジ・システム」としてストライク、ボールのジャッジを除くほぼ全ての判定に適用が拡大された。最初のシーズンが終了し、その結果はどうだったのだろう。『MLB.com』は以下のように伝えている。
 
Given the immensity of the project, it all went remarkably well. During the regular season, there were 1,275 reviews, roughly one every two games. More than half were either confirmed (310) or ruled as stands (352) because there was no clear visual evidence to overturn the umpire’s decision. A total of 603 (47.3 percent) were overturned.
この壮大なプロジェクトは大成功だった。レギュラーシーズンでは、1275回のビデオ判定があった。およそ2試合に1度だ。その半分以上は、アンパイアの判定が間違っていないことが確認された(310回)か、覆すほどの目に見えた確証が得られなかった(352回)ケースだ。それ以外の計603回(47.3%)では判定は変更された。
 
「チャレンジ」という単語には、日本人に一般的な「挑戦する」という意味だけでなく、「異なる意見を述べる」という意味もある。1シーズンを経て、判定が変更されたケースが全体の半分弱であったのは、MLBからするとベストの結果だろう。この制度を導入した当時のバド・シーリグ・コミッショナーは昨シーズン序盤に、こう喝破したそうだ。
 
“It makes me happy because we got it right. Instant replay worked out just beautifully. It couldn’t have gone better. Tony La Russa [now the D-backs’ chief baseball officer] keeps saying to me — you know, he was very much involved — how great it was. It was just tremendous.”
「正しいことをやり遂げて私はうれしい。インスタント・リプレーはこの上ない大成功だった。この制度の導入と定着に大いに関わっているトニー・ラルーサ(現在はダイヤモンドバックスの編成部門最高責任者)は、この制度がどんなにすばらしいか、私に説明してくれたよ。本当にすごいことだ」
 
 ラルーサは、通算2728勝で歴代3位の元名監督。昨年7月には殿堂入りを果たしている。このシーリグの発言当時は、MLB機構でこの新制度の動向を見極めシーリグに報告する役目も担っていた。

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