過去には黒田と岩隈にも提示。NPBでは受け入れ難いMLB独自のシステム「クオリファイングオファー」とは
メジャーリーグも今季の全日程を終え、ストーブリーグが幕を開ける。現地7日にFA資格を持つ選手と、所属球団との独占交渉期間が終了。10選手がQOを受けた。このQOとは果たして何か?
2016/11/10
“エンターテインメント”を大切にするMLBならでは
QOの厄介なところは、拒否した選手が不利益をこうむるケースが相次いだからだ。
獲得に興味を示す球団が現れても、貴重なドラフト上位指名権は差し出したくない。そのため、翌年6月のドラフトが終了し、指名権を禅譲する必要がなくなった6月下旬以降に獲得するケースがまま見られた。その選手は6月までは無所属で過ごさねばならず、試合勘や年俸含め多大な打撃をこうむる。
それが、制度導入4年目にして、ようやく受諾者が表れたことで、周囲の見方が変わってきた。
例えばカブスのファウラーは、FAとなり複数年契約を結んだ場合、単年1720万ドルの契約は手にできないだろうとされる選手の1人だ。ただカブスにおいては、ワールドシリーズ第7戦で先頭打者本塁打を放ち、108年ぶりの世界一を引き寄せた核弾頭は、チーム内でのリーダーとして付加価値は高い。スタッツ+αの魅力で、その額に見合うと球団は判断しQOを提示した。ファウラーサイドは悩みどころだろう。
ちなみに日本人選手でQOを提示されたのは、ニューヨーク・ヤンキースの黒田博樹と、シアトル・マリナーズの岩隈久志の2人しかいない。
賛否両論がつきまとうが、チームと選手双方に一定の利益を保障するQO制度。メジャーリーグの根底には戦力均衡によるエンターテインメントの演出というポリシーがある。それを表す一つの難解なシステムで、現状の日本球界には受け入れ難いシステムに違いない。