好対照なピアッツアとバグウェル 薬物使用の噂がつきまとう、殿堂入り投票落選者の「勝ち組」と「負け組」【豊浦彰太郎のMLB on the Web】
今回の殿堂入り投票での落選者の中でも、マイク・ピアッツアとジェフ・バグウェルは明暗を分けた。ともに素晴らしい成績と薬物使用の噂を抱えながら、前者は票を伸ばし後者は足踏みが続いている。
2015/01/08
同じ噂があっても、得票率が上がらないバグウェル
この点、ショーンフィールドが「負け組」に挙げたジェフ・バグウェルとの対比が興味深い。彼は今年55.7%と、前年の54.7%からほとんど上積みがなかった。
Jeff Bagwell
Bagwell is actually below the percentages he received in 2012 and 2013, so the lack of momentum is bad news. He’s down to five years left. Maybe a slightly less crowded ballot will help him, but he needs to find a wave of support.
バグウェルの得票率(55.7%)は、彼の2012年(56.0%)、2013年(59.3%)より実際のところ低い。勢いを失っているのは悪い知らせだ。彼は(被投票権を保持できる最長期間の10年に至るまで)あと5年となった。現在の有力候補者が溢れかえっている状態は、今後やや解消に向かうはずで、その恩恵は受けるだろうがもっと多くの支持を得る必要がある。
バグウェルは、通算449本塁打でOPS.948。ともにピアッツアを上回っている。ポジションが「打って当たり前」と見られる一塁手だとはいえ、ピアッツア並みの評価を得てもおかしくない。
票が伸び悩んでいる原因の一つは薬物使用の噂だが、噂があるのはピアッツアも同様だし、彼も検査で使用が判明したことはない。噂の根拠は単に「筋骨隆々だった」ことだ。その点では、この両者の明暗は不可思議だ。ショーンフィールドが「勝ち組」と「負け組」に分けたのももっともだろう。ピアッツアはロサンゼルス(ドジャース)やニューヨーク(メッツ)などの大都市の球団を中心にキャリアを過ごしたのに対し、バグウェルは現役生活をヒューストン(アストロズ)で全うした地方区だったことが影響したのだろうか。
ちなみに、成績の点ではほぼ史上最強だが、薬物使用に関しては「限りなくクロに近いグレー」のバリー・ボンズ(MVP7回、通算762本塁打)やロジャー・クレメンス(サイ・ヤング賞7回、通算349勝)はともに30%台、ここまでの3年間ほぼ変化がない。
出典:”Winners and losers on Hall election day”@ ESPN Sweetspot blog by David Schoenfield in Jan. 6, 2014