【MLB】田澤純一を獲得したかったマーリンズの事情――日本出身かつ戦力に適合という条件に合致
レッドソックスからFAとなっていた田澤純一だが、マーリンズへの入団が決まった。
2016/12/17
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勤続疲労で不本意に終わった今季
レッドソックスからFAとなっていた田澤純一が、マーリンズとの2年契約に合意した。米メディアによると総額1200万ドル(約14億円)で、17年が500万ドル、18年が700万ドルという。1年あたりの平均年俸は600万ドル(約7億円)。想定以上の好待遇となった。
田澤はレッドソックスでの7シーズンで、通算302試合に登板。17勝20敗4セーブ、防御率3.58の成績を残した。13年は抑えの上原浩治につなぐ勝利の方程式としてワールドシリーズ制覇に大きく貢献。今季は日本人投手3人目となる4年連続50試合登板を果たし、レッドソックスのブルペンに欠かせない存在だった。
とはいえ、今季は勤続疲労の予兆を感じさせる内容でもあった。防御率4.17はメジャーに定着した12年以降では自己ワースト。右肩の違和感から夏場にはDL入りし、ベンチ入り枠が40人に拡大された9月以降は5試合しか投げていない。アリーグ東地区優勝をつかんだチームで構想外の状況に陥り、プレーオフでは出場登録メンバーから外れた。
それがこの好待遇である。つい先日、カブスと正式契約を結んだ上原浩治と、単年あたりの平均年俸は同額。来季31歳となる田澤と、42歳で迎える上原という年齢差はあれど、実績ではやはり上原が大きく上をいく。上原の今季年俸は900万ドルで、田澤は約3分の1の337万5000ドルだった。何がこの2人を、同額という評価にさせたのか。
まずマーリンズのチーム事情がある。15年に32セーブ、今季は40セーブのA・J・ラモスというクローザーを抱えるが、今季はwhip(1イニングあたりに許した走者数)1.36と、不動の抑えには物足りない数字。カブスからFAのアロルディス・チャップマン、ドジャースからFAのケンリー・ジャンセンら大物選手の獲得に動いていた。
ところがその2人を取り逃し、代替候補の1人だった上原もカブスに先を越された。今オフのFA市場は中継ぎ投手陣が豊富だったが、ジャイアンツがマーク・メランソンを獲得するなど、主力どころはおおむね決着。マーリンズは後のないところに追い詰められていた。