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大事なのは速球の活かし方 人類最速171キロの剛速球だけで、MLBは通用せず【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回のテーマは、2014年のフォーシーム(ストレート)の平均球速のランキングから、MLBで通用する選手について考えてみた。

2015/01/12

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速球派から制球とコンビネーションで投げるタイプへと進化した投手たち

『Baseballprospectus』は2007年から投手の球速のデータを記録している。8年間のフォーシームの平均球速のランキングを見ると、面白いことが見えてくる。
 
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 2007年の1位は、マリナーズのヘルナンデス。
 まだデビュー3年目、21歳の若手先発投手だった。ヘルナンデスは今、MLBを代表する先発投手の一人となったが、成績が上向くとともに速球の球速は落ちている。
 2014年の平均球速は151.84キロ、速球で攻めるタイプから制球とコンビネーションで投げるタイプへと進化したのだ。
 
 2007年から2010年まで、MLBの速球王と言えば、タイガースのセットアッパーのジョエル・ズマヤだった。最速168.6キロを記録した。しかし制球が悪く一流の成績は残せず、2010年オフには故障をしてMLBから消えていった。
 
 剛速球を投げる投手は常に、「故障」と背中合わせなのだ。
 
 2009年のドラフト全体1位、史上最高の1510万ドルの契約金でナショナルズに入ったスティーブン・ストラスバーグは、翌年MLBにデビュー。速球の平均は157.52キロを記録し、7位にランキングされたが、この年の8月に肘を痛め、トミー・ジョン手術を受けた。
 翌年に復帰してからも速球主体で先発投手として活躍しているが、平均球速は153.93キロ、48位に落ちている。彼も速球だけで勝負するタイプではなくなったのだ。
 
 アロルディス・チャップマンはズマヤと交替するように2011年に登場。デビュー当初は、投坂が嵩むと最高速が落ちる傾向にあった。
 しかし高速スライダー、チェンジアップを有効に使えるようになって投球に幅ができた。
 驚異的なのは、ここ3年、平均速度がアップしていることだ。ついに2014年は、100マイル(160.93キロ)を超えた。
 NPBでは大谷翔平の最高速が日本人最速タイの162キロを記録したことが話題になったが、チャップマンは毎試合、ほぼそれくらいの球速の球を普通に投げているのだ。
 
 投手として球が速いのは何よりの長所だ。しかしそれだけでは大投手にはなれない。
 今年はMLBにどんな剛速球の持ち主が登場するだろうか。

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