青木、イチロー、川﨑……日本人野手それぞれの決断
アメリカでプレーをする2人の日本人野手の去就が決まった。世界一を目指す者、同じチームで再び挑戦する者……それぞれ強い思いをもって、2015年アメリカでプレーを続ける。そしてイチローの移籍も間もなく、決着がつきそうだ。
2015/01/20
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世界一の球団へ入団が決まった青木
キャンプの足音が聞こえ始めてきた日本時間1月17日。ここまで誰一人決まっていなかった日本人野手の去就先が、一気に2人も決まった。ロイヤルズからFAとなっていた青木宣親が、ジャイアンツとの1年契約に合意。ブルージェイズからFAとなっていた川﨑宗則は、マイナー契約での再契約を結び、招待選手としてメジャーキャンプに参加することが決定した。
青木の年俸は、米メディアの報道によれば400万ドル(約4億7000万円)。16年は年俸550万ドル(約6億4000万円)で球団側が選択権を持ち、行使しない場合は70万ドル(約8000万円)が支払われる。それぞれ150万ドル(約1億8000万円)の出来高も設定されており、全てクリアすれば2年で最大1250万ドル(約14億6000万円)を手にすることができるという。
メディカルチェックなどを経て、19日(日本時間20日)に正式契約が発表された。
当初、米メディアで報じられていた「年俸700~800万ドルで2~3年契約」という破格の条件から比べれば、多少買い叩かれた感は否めない。米国のFA市場は生き物である。時期によって、人気が集まるポジションやタイプが大きく変わってくる。
高い出塁率、広い守備力を持つ青木はジャイアンツにうってつけ
青木の持つ、左打ちの外野手でリードオフマンタイプ、という選手でいえば、このオフの売り時は過ぎていたかもしれない。
同じタイプでいえば、ブルージェイズからFAのメルキー・カブレラは昨年12月13日にホワイトソックスと合意。オリオールズからFAのニック・マーカーキスは同3日にはブレーブスと合意していた。
それでも青木自身が希望していた「目標は世界一。そこを狙える球団」という条件には、どこよりも当てはまるに違いない。ジャイアンツは最近5年間で3度のワールドチャンピオン。ロイヤルズに在籍した昨季は、ワールドシリーズで第7戦まで及んだ熱戦の末に敗れた相手だ。その実力は誰よりも肌で痛感している。
ジャイアンツは一塁手兼外野手のマイケル・モースがFAとなりマーリンズへ移籍。左翼の後釜となるべきグレゴー・ブランコは大リーグ通算打率.257、昨季も同.265で、メドが立ったとはいえなかった。
加えて中堅手のアンヘル・パガンは昨年9月に椎間板ヘルニアの手術を受けており、今季開幕までに状態が整うかは未知数。出塁率が高く、上位打線で計算できる外野手が欲しかった。
大リーグ3年間で出塁率.355、.356、.349と安定した数字をマークする青木はうってつけの存在だった。5番・右翼の主軸ハンター・ペンスと青木をレギュラーとし、パガンの状態が悪ければブランコでカバーする布陣。本拠地AT&Tパークは外野が広く高い守備力が必要とされ、青木の広い守備範囲も獲得の決め手となった。