手術を回避したマー君への不安は拭い去れない?ファンタジー誌が予想する今季の田中将大【豊浦彰太郎の MLB on the Web】
この時期、ファンタジー・ベースボール・ファン向けのスカウティング・レポート誌が数多く刊行される。そこでの田中将大への評価は各誌さまざまだが、手術を回避したヒジの状態に疑心暗鬼な点は共通している。
2015/01/22
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スカウティング・レポートでの田中の評価はさまざま
ファンタジー・ベースボールをご存知だろうか。実在の選手で自分の仮想チームを作り、その選手の実際の成績をポイント化して競うシミュレーションゲームだ。アメリカでは、多くのファンが熱狂しており、日本でも愛好者は確実に増えつつある。
毎年この時期には、ファンタジー愛好家が今季のチーム編成を行うための年鑑ともいうべきスカウティング・レポートが多数出回る。それらはGMたる各読者がチームを編成するためのものなので、一般の選手名鑑とは異なり、球団別ではなくポジション別に編集されている。
ぼくはファンタジーはやらないが、ファンタジー・ファン向けのスカウティング・レポートを読み比べるのが好きだ。同じ選手に対し、各誌が独自の判断を下していて興味深い。ここでは、田中将大を題材に、各誌の評価の違いを見てみたい。
まずは、アメリカのスポーツ・ジャーナリズムの草分け的存在『スポーティング・ニューズ』だ。
ここでの田中は、 先発投手のランキングで15位タイ。もう1人の15位はデビッド・プライス(2012年サイ・ヤング受賞)だから悪くはない。同誌は田中をこう評している。
Tanaka returned for two starts late in the year with mixed results, and his velocity wasn’t exactly what we’d seen earlier in the season. He showed true ace ability while healthy, finishing with more than one strikeout per inning and a 1.4 BB/9 rate. Still, it would be foolish to pay for 200 innings of last year’s rates without seeing Tanaka pitch in the spring.
Tanaka has limitless potential if he’s healthy, but it’s best to be cautious given his recent elbow problem.
田中のシーズン終盤の復帰後2登板は、好投と乱調が入り混じった結果となった。そして、球速は故障前のレベルにはなかった。故障前は真のエースと呼ぶべき投球を披露した。イニングを上回る奪三振を記録し、平均四球率は1.4(という優秀な値)だ。しかし、それでも春季キャンプでの投球を見極めるまでは、200イニング級の活躍を期待するのは危険だ。
田中の潜在力は計り知れない。ただしそれは健康体であれば、ということだ。(ファンタジー・オーナーは、自らのチームに田中を組み入れるかは)ヒジの状態に十分注意する必要がある。
ちなみに同誌は、今季の田中の成績を25登板、170イニングで12勝と見ている。ローテーションを守りきれば1シーズンで33登板、200回くらいなので、ある程度の離脱の可能性はありということだ。評価は高いが、不安は拭い去れないようだ。