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有力オリオールズ一転、厳しいマーリンズへ。『待つ』のをやめ、現実的な選択を選んだイチロー

イチローはなぜ、マーリンズを選択したのか? それは、『待ちつづけた』結果、逆にメジャー契約の道すら閉じてしまう最悪なシナリオを回避した、イチロー側の現実的な選択肢と言えるのではないだろうか?

2015/01/26

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マーリンズ外野陣の一角を奪うのは不可能

 ラスト・サムライの行き先がついに決まった。ヤンキースからFAとなっていたイチロー外野手が23日(日本時間24日)、マーリンズとの1年契約に合意したと日米メディアが一斉に報じた。これで、日本人大リーガーの今季所属先が全て固まった。
 
 年俸は昨季までの650万ドル(約7億7000万円)から3分の1以下となる200万ドル(約2億4000万円)へと激減する。有望な若手3選手が外野のレギュラーポジションを埋めており、チーム内では第4の外野手として控え扱い。条件は正直言って非常に厳しいものとなった。
 
 当初、イチローが求めていた所属球団への条件は「レギュラーとしてのメジャー契約」だった。新たに代理人契約を結んだジョン・ボッグス氏は「出場機会が多いかどうかを重視する」と繰り返してきた。
 
 マーリンズの外野陣は3人とも25歳以下で将来有望だ。右翼は米スポーツ最高額となる13年総額3億2500万ドル(約384億円)で契約延長したばかりの、昨季本塁打王ジャンカルロ・スタントン。中堅マーセル・オズナは昨季、打率.269、23本塁打、85打点でブレークした24歳。23歳の左翼クリスチャン・イエリチは打率.284、21盗塁で、昨年のゴールドグラブ賞に選ばれた。
 
 スポーツ専門局ESPNの名物コラムニスト、バスター・オルニー氏は18日付で大リーグ30球団のレギュラー外野手トリオの格付けを行い、マーリンズの3人をトップに選んだほどだ。
 
 イチローは今年10月には42歳を迎える大ベテランだ。断言していい。大きな故障なくして、この3人から外野の定位置を奪うことは不可能だ。実力だけでなく、契約や年齢的な条件など、数々の要素がそれを裏付けている。
 
 どの世界でも、実力が同等なら当然若いほうを使う。これほどの巨額投資をした25歳のスタントンは不動。オズナ、イエリチは昨季がメジャーで1年間過ごしたのは初めてで、よりメジャーに慣れ、潜在能力を開花させるため、多くの打席に立たせる必要がある。
 
 ならば、なぜイチローはマーリンズ入団を決断したのか。そこには難しい駆け引きや、判断が垣間見える。
 
 イチローの獲得には複数の球団が興味を示していた。オリオールズは中でも積極的な球団の一つだった。加えてチームはネルソン・クルーズ、ニック・マーカーキスと正外野手を2人もFA移籍で失った。ブルージェイズからFAのコルビー・ラスマス外野手との契約を目指したが、こちらはアストロズにさらわれた。正右翼手は、今でも不在のままだ。

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