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過酷なキャンプ招待選手からの開幕ロースター入り 川﨑宗則の「挑戦」のすごさ【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は川﨑宗則の契約例を参考に、招待試合からMLBに上がるまで、いかに過酷な道のりであるかを紹介したい。

2015/01/27

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Getty Images



MLBは選手を選別するために、すぐにオープン戦へ

 間もなくキャンプのシーズンが始まる。NPBではキャンプ地に先乗りして自主トレをする選手がいたり、キャンプに向けて一軍、二軍のチーム割が発表されたり、あわただしくなっている。もうすぐ、新聞に「球春間近」と言う見出しが躍るはずだ。
 
 MLBもそろそろキャンプの話が出るようになった。
 
 MLBではアリゾナとフロリダの2つの地域に15球団ずつが分かれてキャンプを張る。そしてその二つの地域でオープン戦(スプリングトレーニング)を行う。
 
 アリゾナはカクタス・リーグ、フロリダはグレープフルーツリーグ。
 
 MLBではいわゆる「キャンプ」の期間は1週間ほどしかない。すぐに試合が始まる。できるだけ多くの試合を消化するために、大学チームと対戦したり、チームを二つに分けて1日2試合をこなしたりもする。
 
 なぜ、そんなに多くの試合をするか? 試合を通じて選手を選別する必要があるからだ。
 
 NPBでもキャンプは「競争」ではある。1軍開幕メンバーに選ばれることを目指して、ポジション争いが行われる。
 
 しかしMLBの「競争」は、NPBよりもはるかに過酷だ。MLBのキャンプには、MLBの試合に出場することが保証されている選手だけでなく、努力次第で出場可能な一方で、だめならマイナーに行く選手、そしてだめならクビになる選手が一緒に参加しているのだ。

公式サイトで選手の現状がわかる

 MLBの公式サイトで選手を検索すると、選手名の上にSTATUS:という項目がある。選手の現時点での「地位」を表す表示だ。
 
 MLBのロースター(選手名簿)に載っている選手はACTIVEと記入されている。基本的にはメジャー契約した選手だ。
 
 Signedはマイナー契約。Free AgentはFA、つまりどことも契約していない選手だ。
 シーズンが始まると、これにNRIというステイタスが加わる。
 
『Non Roster Invitees』つまり、選手名簿に載っていない招待選手。いわゆるキャンプ招待選手だ。
 
 彼らはマイナー契約で、MLBのスプリングトレーニングに参加して、メジャー契約を勝ち取ろうとする選手。日本的な言い方をすれば「テスト生」のようなものだ。
 
 チームによって違うものの、十数人から二十数人のNRIがキャンプに参加している。
 
 主なステイタスを表にしてみる。〇は出場資格があることを意味する。
 
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 40人枠とはベンチ入りができる25人には入らない選手だが、メジャー契約で、25人枠の選手が故障したり、不振に陥ったときに代わりに昇格する権利を持った選手たちだ。
 
 シーズン開幕から8月31日までは40人枠に入らないと、MLBの試合に出ることはできない。9月1日以降はMLBの試合に出ることができる。しかし、ポストシーズンには出場できない。
 招待選手はスプリングトレーニングだけのステイタスだ。

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