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過酷なキャンプ招待選手からの開幕ロースター入り 川﨑宗則の「挑戦」のすごさ【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は川﨑宗則の契約例を参考に、招待試合からMLBに上がるまで、いかに過酷な道のりであるかを紹介したい。

2015/01/27

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Getty Images



メジャー契約まで、道は険しい

 招待選手はスプリングトレーニングだけのステイタスだ。
 
 招待選手でなくても、スプリングトレーニングでテストされるケースもある。昨年、レッドソックスとマイナー契約をした元ロッテの渡辺俊介は招待選手ではなかったが「MLBのスプリングトレーニングで3試合投げる権利がある」契約をし、登板した。結果は芳しくなく、解雇された。
 
 巨人のドラフト1位選手だった村田透はAAの選手だったが、やはりキャンプに呼ばれ投げたがすぐにマイナーに戻された。
 
 招待選手は開幕時には、原則としてメジャー契約、40人枠、マイナー契約、FAの4つのステイタスのいずれかになる。
 
 シーズン中も契約は頻繁に変更され、マイナー契約の選手がメジャー契約に変わることもあるが、選手は、やはりスプリングトレーニング中に何としてもメジャー契約を取り付けたいと考える。だから必死で頑張るのだ。
 
 田中将大など複数年のメジャー契約をしている選手にとっては、スプリングトレーニングは文字通りトレーニングの場だ。一方でキャンプ招待選手にとっては生き残りをかけた必死の戦いなのだ。
 
 それがどれだけ過酷なものか、昨年のニューヨーク・ヤンキースのキャンプの成績を基に見てみよう。
 
 スプリングトレーニングの成績と、2014年開幕時点でのステイタス。
 
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 ピンク色のついた選手は、開幕時点で25人のロースター入りをした選手。それ以外にDL(故障者リスト)入りしていた選手がいる。アレックス・ロドリゲスは、不正薬物使用によって出場停止処分になっている。
 
 それ以外の色のついていない選手は、スプリングトレーニングに招待選手、あるいはマイナー選手として参加したものの、開幕ロースターに入ることができなかった選手である。
 
 投手は36人中23人、捕手は11人中9人、内野手は25人中16人、14人中9人が残ることができなかった。
 
 彼らは契約によって、マイナー行きしたり、FA、戦力外になったりする。他球団に移籍やトレードで移る選手もいる。
 
 投手のアセべス、ベイリー、内野手のマルチネス、ナバーロはヤンキースのスプリングトレーニングが終わってから移籍してきた選手だ。いずれも実績のある選手。彼らはMLBの選手たちのリザーブとして獲得された。
 
 建山義紀は開幕ロースターに残ることができず、ヤンキースのマイナーでプレーした。そしてシーズン中にヤンキースを退団し、阪神に復帰したのだ。
 
 昨年、川﨑宗則はキャンプ招待選手としてトロント・ブルージェイズのスプリングトレーニングに参加した。そして、今年も昨年同様の形でスプリングトレーニングに参加する。
 
 彼は毎年そのステイタスからMLB選手になっているので、招待選手からMLBの試合に出るのはそんなに難しくないように思うかもしれない。しかし、この表を見ると、生き残るのは非常に大変なことがわかる。
 
 川﨑はNPBでは地位もあり、人気もある選手だった。彼は、まさに「勇気ある挑戦」を繰り返しているのだ。
 
 今季、川﨑のステイタスが「NRI」から「Active」になることを願って声援を送り続けたい。

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