年齢、レギュラー争い、環境、記録……戦う相手は数知れず。野球人・イチローをつくりあげてきた“挑戦”という道程
異例ずくめのVIP待遇だった。それだけマーリンズがイチローを評価している証でもある。そして、イチローは今年も『応援していただけるような選手』でありつづけるために、新しい挑戦に向かう。
2015/02/02
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イチロー節全開の記者会見
イチローは、あくまでイチローらしくマイクを握った。
1月29日、都内のホテルで開かれたマーリンズ入団会見。入団を決断した理由。そして常に挑み続ける理由を独特の口調で明かした。
「『これからも応援よろしくお願いします』とは、僕は絶対に言いません。応援していただけるような選手であるために、自分がやらなくてはいけないことを続けていくことをお約束して、これをメッセージとさせていただいてもよろしいでしょうか」
日米野球ファンへのメッセージを問われ、こう切り出した。常に挑戦者で居続けるというスタンスは、オリックス時代から不変のものだ。
合意が報道されてから、悲観的な見方があったのは確かだ。いずれも25歳以下の若手有望株が外野のレギュラー3ポジションを固める布陣。第4の外野手として「控え」の立場からスタートするのは間違いないからだ。
これに対してイチローは「4番目の外野手であることは想定内。3番目を望むというのは、そんな自分はどうかなと思いますけどね。5番目では、それはつらいかもしれないですけど」と正面から事実を受け止めていた。
右翼のスタントンは不動の大黒柱で中堅オズナ、左翼イエリチの2人はメジャーで1シーズン働いたのは昨年が初めて。能力をより開花させるべく、球団側は今年もより多くの打席に立たせる必要があるわけだ。
3人に大きな故障でもなければ、出場機会が激減するのは確実。「特にアメリカでは40を超えた野手に(レギュラー)ポジションを与えるというのは……、その時点でカットされる、年齢を見ただけでね」とメジャーの不文律は当然承知している。
イチローはいたずらっぽい笑みを浮かべ、続けた。「それに僕はピッチャーもできますからね」。