ナリーグDH制採用の可能性も? 投手の打席排除がMLB魅力アップにつながるのか【豊浦彰太郎の MLB on the Web】
新コミッショナーの「野球をより魅力的に」との掛け声のもと、ナリーグでのDH制採用が検討されるかもしれない。もし採用されれば、打撃戦は増えるかもしれないが、投手を打席から完全に排除することが魅力アップにつながるかは疑問だ。
2015/02/03
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DH制のメリットとは何か?
以前もこのコラムでお伝えしたように、MLBのロブ・マンフレッド新コミッショナーは、「ゲームそのものをより魅力的に」という目的で数々のフィールド上の改革に着手したいと考えているようだ。
それらは主として試合時間の短縮と近年の投高打低傾向の矯正を目指したものに分けられ、前者では投球間隔を計る時計の設置(今季はマイナーリーグで試験導入)、後者では極端な守備シフトの規制や、ナショナル・リーグでのDH制の導入などが案にあがっている。
ゲームを打撃優位にさせるには、確かにナリーグでのDH制導入は有効だ。これによりMLB全体の試合の半分で、9人に1人、明らかに打力が劣る打者を排除できる。『ボストン・グローブ』紙のニック・カファード記者はジョン・レスター投手を例に挙げ、投手が打席に入ることの問題点を指摘する。
レスターは、これまでのキャリア9年をDH制のアリーグで過ごし、このオフにFAとなりナリーグのカブスと6年1億5500万ドル(約181億4000万円)の大型契約を結んだ。
Jon Lester, for instance, is 0 for 36 with 22 strikeouts in his career. Now he’ll be hitting more often with the Cubs.
例えばジョン・レスターだ。彼はキャリア通算で36打数無安打で22三振も喫している。彼はカブスでこれまでより多くの打席に立つことなる。
確かに、レスターのような選手が打席に入る機会を抑制すれば全体を矯正できそうだ。カファード記者は以下の数値も紹介している。
The AL hit .253 with a .706 OPS overall last season, while the NL hit .249 with a .694 OPS. Pitchers hit .107 with one home run and 24 RBIs over a 162-game average, while DHs hit .249 with 23 homers and 83 RBIs for a .743 OPS over a 162-game average.
昨季、アリーグでは平均打率は.253、平均OPSが.706だったのに対し、ナリーグでは.249と.694だった。162試合あたりに換算すると、投手は打率.107、1本塁打、24打点であるのに対して、DHは.249、23本塁打、83打点だ。