【MLB】前田健太、データが語る絶不調の真実。ど真ん中50%、“極甘”制球が強打者の餌食に
メジャー2年目を迎えたロサンゼルス・ドジャースの前田健太投手が苦しみを極めている。ここまで4試合に先発登板し1勝2敗、防御率8.05でローテーション落ちも危惧される。平均球速は上がっているのに、何故メジャーの強打者にことごとく弾き返されるのか。そこには、データから見える制球の甘さがあった。
2017/04/26
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ボールが真ん中に集まることで増えた被本塁打
次の登板も好投できなければ、前田健太投手はロサンゼルス・ドジャースのローテーションから外されるだろう。
ナショナル・リーグで開幕から4先発以上して防御率8.00以上の投手は、前田の他にザック・デービーズ投手(ミルウォーキー・ブリュワーズ)しかいない。しかも、デービーズの防御率が登板ごとに下がっているのに対し、前田の防御率は5.40→6.30→7.07→8.05と投げるたびに上がっている。
前田の奪三振率と与四球率は、昨シーズンとほぼ変わっていない。奪三振率は昨シーズン9.17で今シーズンは9.00、与四球率は昨シーズン2.56だったものが今シーズン2.37となっている。米データサイト『ファングラフス』が掲載するPITCH f/x(投球の速度や軌道を示すシステム)のデータによると、一般的に「ストレート」と言われる4シーム・ファストボールの平均球速は90.0→91.4マイル(約145キロ→約147キロ)と上昇している。ただ、被打率は対左打者が昨シーズンの.246から.311に上がり、同じく対右打者も.213→.286。昨シーズンは20本(対左右とも10本ずつ)だった被本塁打は、早くも7本(対左4本、対右3本)を数える。
打たれている理由は制球にある。ストライクゾーンを縦に3分割した「内・中・外」のコースのうち、今シーズンは昨シーズンと比べ、外の球が減って中の球が増えている。対左打者は外が47.7%から27.6%、中は34.9%から51.0%に(ゾーン内の球に占める割合。ゾーン外の球は除く)。対右打者は外が47.2→36.4%、中が37.9→50.0%となっている。対右打者に関しては、「高・中・低」の3分割でも低が41.0→33.3%、中が39.8→47.0%で「内・中・外」と「高・中・低」のいずれでも中に球が集まっている。
また、速球の投球割合は、4シームが27.8→41.7%と増えた一方で、手元で変化する速球である2シームは15.3→4.5%と激減している。意図的に2シームを減らしているのか、曲がらないために4シームに分類されているのかはわからないが、こちらも不調の要因かもしれない。