データから見た、「2015年のイチローが活躍する」3つの理由【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、3つのデータからイチローの2015年を占ってみた。
2015/02/09
年々、代打での成績を上げている
2 代打
イチローは長い間、不動のレギュラー選手だった。よほどのことがなければ代打に立つことはなかった。それだけに、キャリアでの代打成績は42打数12安打.286と特に特筆すべきものではない。
しかしこれを年度別に見ていくと、面白いことがわかってくる。
シアトル・マリナーズ時代は、代打の経験は、わずか12打席しかない。しかも1安打。代打は得意とはとても言えなかった。2012年シーズン途中にヤンキースに移籍してから6回代打に出たが、安打なし。この時点では「イチローは代打が苦手」と結論づけても不思議ではない。
それが翌年以降、イチローは1打席限りの勝負で見違えるような成績を収めていく。2013、14年は28回代打に立ったイチローは、25打数11安打2四球。.440という驚異的な数字をマークしたのだ。
気持ちの切り替えもあったのかもしれない。「代打も自分の仕事」と割り切ることで集中力が生まれたのではないか。前述のように、イチローは経験値の少ない相手にめっぽう強いが、その持ち味が代打でも発揮されたのだ。
ナリーグはDH制がない。試合後半、投手の打席では代打が起用されることが多い。「ピンチヒッター、イチロー・スズキ」とコールされるケースは相当数あるのではないか。
ここでイチローが快打を飛ばせば、マーリンズの首脳陣、ファンの評価は確実にアップするはずだ。