ダルビッシュが指摘 肘への負担軽減で改良済? 2年目の田中将大を左右する新スプリット
肘の故障から完全復帰なるか――MLB2年目の田中将大の最大のポイントだ。故障の誘因ともいわれた、自身の投球の生命線となるスプリットを不安なく投げ込めるか。ぜひ、この点に注目したい。
2015/02/16
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肘の経過は順調と強調した田中
ヤンキース・田中将大が、真価の問われる2年目のシーズンへ向け太平洋を渡った。ルーキーイヤーは鮮烈な連勝デビューを飾りながら、右肘じん帯部分断裂で後半戦のほとんどを棒に振った。自身の完全復活はもちろん、「落日の帝国」へ傾きつつある名門チームの屋台骨を任される1年になる。
10日、成田空港での渡米前の会見では「こういう日程でワールドシリーズがあるのはなかなかないこと。無事に誕生日を迎えられれば」と話したという。今年のMLBは開幕が4月5日と遅く、ワールドシリーズは5年ぶりに11月にさしかかるのが確実。27歳の誕生日となる11月1日もユニホームを着て、同シリーズまで戦い抜くという意欲を、田中流に示した。
「右肘の状態も含めて、順調にきています」
田中はこのオフ、ことあるごとに昨年7月に痛めた右肘の状態は良好だと口にし続けてきた。
にも関わらず、地元ニューヨークのメディアの猜疑的な視線は変わっていない。
じん帯は一度傷付くと自然再生はしない、というのが共通認識。幸いにも損傷の度合いが少なかったから、手術ではなく保存療法を選択し、9月末の復帰登板までこぎつけた。だがいつ爆弾が悲鳴を上げるのかはわからない、というわけだ。
ブライアン・キャッシュマンGMは「田中の肘の状態はいいと聞いている。ただ、投球が続き、状態がどうなるかどうかは、まだ分からない。手術が必要になるかもしれないし、そうではないかもしれない。先のことは、誰にもわからない」とメディアに答えている。
この発言を元に「田中にはまだ手術の可能性もある」と報じるメディアも一部にあったが、それこそ揚げ足取りだろう。GMが言いたかったのはそんなことではなく、そう取ってしまってはすべての選手に手術の可能性がある、とも言えなくない。
田中の肘の状態は現在のところ良好で、本人も球団もそれなりの手応えを得ている。それが現状のすべてで、それ以上でも以下でもない。
ラリー・ロスチャイルド投手コーチも9日にキャンプ地のタンパで「彼はいい冬を過ごしていると報告を受けている」と、オフの間は通常の練習メニューを消化してきたことを明かした。田中本人によれば、日本での自主トレの間に捕手役を座らせての投球練習も行ったという。
その上で同コーチは「何人かの選手は調整過程をよく見ていく必要がある。田中はその中の一人だ」とも付け加えた。オフの練習過程で不安は出ていないが、やはりキャンプでの調整に細心の注意が払われるのも事実だ。
長期離脱で悔しい思いをした田中自身が一番よくわかっている。「一番は健康で居続けること、それだけ。健康第一です」と今季へ向けて最大の目標を口にする。