【MLB】日本人審判の挑戦・・・四国から“史上初”のMLB審判へ
2017/07/05
Getty Images
MLBを目指すのは選手だけじゃない。審判員としてその舞台を志し、米国で挑戦を続ける日本人がいる。四国アイランドリーグplus出身の松田貴士審判員(28)。昨年、渡米5年目にしてアドバンスドA級からダブルA級に昇格して、現在も日本人初のMLB昇格に向け、活躍を続けている。現地でもその挑戦に注目が集まり、3日(日本時間4日)には『リッチモンド・タイムズ・ディスパッチ』電子版が特集記事を掲載した。
四国アイランドリーグplusによると、松田審判員は2010年から同リーグの審判を務めた。その後はオーストラリアや米国のジム・エバンス審判学校などで学び、ルーキーリーグから審判のキャリアをスタート。5年目の昨年に日本人史上3人目のダブルAの審判員となった。
マイナーリーグの審判養成プログラムのダスティ・デリンジャー氏によると、これまでの日本人審判の最高到達点は平林岳審判員のトリプルA級だという。松田がMLBの審判になれば史上初の快挙だ。
しかし、松田にとって“日本人初”という肩書は重要ではないという。
「自分のことは、MLBで仕事をするために努力をしている他の審判と同じだと考えています。ただ自分の夢を追い求めているだけです」
審判に心を奪われたのは大学時代だった。ガソリンスタンドやチューター、居酒屋の店員などのアルバイトに汗を流し、審判学校に入学するための学費を稼いだ。
異国の地で審判を務めることで最も苦労するのは、言葉の壁だ。松田は米国に着いた当時の英語力を思い起こし、「どうやって生き抜いたのか見当もつかない」と明かす。
「選手やコーチ、監督自身も知らない、または正確には知らないルールを説明することはとても難しい」と松田は語る。「さらに感情が入ってしまうこともある。その場の勢いで心臓の鼓動が上がってしまう。それでも自分をコントロールして、正確に話すことを心がけなければならない」
デリンジャー氏は、「タカは成長を続けていて、彼がトリプルA級に行けない理由は見当たらない」と期待を寄せる。保証はできないと念を押したうえで、「おそらくもう1年ダブルA級で経験を積んで、2019年がトリプルA級への昇格の年となるだろう」と話す。
松田の米国挑戦から6年。MLBの舞台で日本人審判の姿が見られる未来はそう遠くはないかもしれない。