今年のMLBは、ナショナルリーグが断然面白い!【田口壮の眼 第1回】
オリックス時代にはイチローとともに日本一に輝き、その後メジャーリーグではマイナーからすさまじい努力でメジャー昇格を果たし、カージナルス、フィリーズで世界一に輝いた野球解説者・評論家の田口壮氏。そんな田口氏に2015年のMLBをたっぷり語ってもらいました。第1回は2014年のMLBを振り返ってもらいつつ、近年のMLBのトレンドについて伺った(4回構成)。
2015/02/19
Kenji Yasuda/Photoraid
監督がいいチームは勝つ!
――昨年のMLBは、サンフランシスコ・ジャイアンツの勝利に終わりました。まずは、昨シーズンの総括をお願いいたします。
田口 最終的な話をすると「監督がいいチームは勝つ」という印象です。ジャイアンツは、戦力的にドジャースよりは明らかに劣っていました。ナショナルリーグで一番強いチームではなかったと思います。でもボーチー監督という要素が加わって優勝できたのだと思います。ボーチー監督に取材したことがありますが、彼は常に選手とコミュニケーションを取っています。選手の状況をよく把握し、チームをまとめています。その「まとまり感」がここ数年、1年おきに出て世界一になっている、という感じです。ボーチー監督は、お金をかけたから、データを重視したから、勝てるわけではないことを証明し続けているのではないでしょうか。
――アメリカンリーグ優勝のカンザスシティ・ロイヤルズも良く似たチームだったように思います。
田口 ロイヤルズは戦力的にバランスが取れたチームですね。スピードと投手を含めた守備力で勝ってきたチームは大崩れしないという印象を持ちました。
――数年前までMLBは、アメリカンリーグの東地区が主導しているという印象でしたが、大きく変わってきましたね。
田口 お金を持っているチームが引っ張っているという図式は基本的に変わっていませんが、一方でマイナーの育成システムが充実してきているチームが強くなってきています。
その皮切りがセントルイス・カージナルス。2007年くらいから育成システムを構築しています。それが浸透したので、お金をかけなくても勝てる傾向が出てきているのです。
――日本のメディアはアメリカンリーグを中心に報道していますが、今年はナショナルリーグも大注目です。
田口 僕はナリーグ育ちなので、もともとナリーグのほうが面白いと思っていますけどね(笑)。これまでナリーグは、確かに日本ではあまり注目されていませんでしたが、今年は青木宣親選手が行って、イチロー選手が行って、中継も増えると思います。特に東地区ですね。ナショナルズが出てきて、マーリンズが出てきて、ブレーブスも面白くなってきています。中地区は相変わらずセントルイス・カージナルスが強い。しかしピッツバーグ・パイレーツという意外なチームも出てきていますし、今年はシカゴ・カブスも要注意です。西地区では、ロサンゼルス・ドジャースが引き続きお金をかけてチーム力をアップしています。また、サンディエゴ・パドレスも良い補強をしました。
――3年前に、ワイルドカードが2枚に増えました。それからポストシーズンが充実したと思います。
田口 確かにそうですね。ワイルドカード・ゲームがたった1試合増えたことによってポストシーズンは変わりました。プレーする側としては、レギュラーシーズン終了後、中1日でやるワイルドカード・ゲームはごめんだ、というところではないでしょうか。ワイルドカードのチームは、体力的にも精神的にもきつくなったでしょう。しかし、これで勝ち抜けたチームは、かえって勢いが増すシステムにもなっています。1試合増やしただけでも、地区優勝をして勝ち上がりたいという気持ちは強まっただろうし、優勝の価値は高まったと思います。