ダルビッシュは大丈夫!田中将大は「一人ぼっち」になるのが気がかり【田口壮の眼 第2回】
オリックス時代にはイチローとともに日本一に輝き、その後メジャーリーグではマイナーからすさまじい努力でメジャー昇格を果たし、カージナルス、フィリーズで世界一に輝いた野球解説者・評論家の田口壮氏。そんな田口氏に2015年のMLBをたっぷり語ってもらいました。第2回は注目のMLBプレーヤー、そして日本人投手について伺いました。
2015/02/20
Kenji Yasuda/Photoraid
ホセ・フェルナンデスのスライダーは「命を張らないと」打てない!
――注目の選手をあげていただけますか?
田口 打者では、フロリダ・マーリンズのジャンカルロ・スタントンが面白いと思います。飛距離は半端じゃないです。おそらく、MLBでは一番スイングが速いでしょう。昨年は死球で最終盤欠場しましたが、今年はどこまでやるか。三冠だって狙えるんじゃないでしょうか。
――では、田口さんが一番見たい投手は?
田口 やはりマーリンズのホセ・フェルナンデス。何と言っても、球のスピードとスライダーのキレです。あのえげつないスライダー! 彼がど真ん中に投げてくるスライダーは、右打者が何も知らずに打席に入ったら「逃げろ!」と思うような球です。ケリー・ウッドとかマーク・プライアとか、こういうスライダーを投げる投手が昔はいたんですが、この数年いなくなって、また出てきました。「命張らないと無理」「当たって死ぬ覚悟で打席に入らないと打てない」という感じです。MLBの打者は、センターからのカメラの画像で投手の切れとか角度とかを確認して打席に入るんですが、ケリー・ウッドとホセ・フェルナンデスのスライダーはほぼ同じです。同じくらい、すごいスライダーを投げています。
――クレイトン・カーショウはどうですか?
田口 彼は今年もすごいでしょう。昨年も取材しましたが、彼はオープン戦の一発目から真剣に投げてくるんです。全力で投げて、打たれたら本当に悔しがって「なんでかわからん」と怒って帰ってくる。それくらい完璧に仕上げてくる。2回くらしか投げないときでも全力で抑えるんです。彼の球もどれをとっても一級品ですね。
――クローザーのクレイグ・キンブレル、アロルディス・チャップマンはどうですか?
田口 キンブレルはクローザーに起用されて4年目のシーズンが終わりました。今年もう1年頑張って乗り切ったら、マリアノ・リベラとかトレバー・ホフマンの域までいくんじゃないか、という気がします。普通のクローザーはもって3年くらいです。全力で投げるし、精神的にも潰れていくし、そこを超えた人が大クローザーの後を追っていける。キンブレルはそういう選手だと思います。チャップマンは速いだけなら絶対ですが、勤続疲労が出てスピードが落ちてコントロールが甘くなったら打たれる時が来るのではないでしょうか。