ダルビッシュは大丈夫!田中将大は「一人ぼっち」になるのが気がかり【田口壮の眼 第2回】
オリックス時代にはイチローとともに日本一に輝き、その後メジャーリーグではマイナーからすさまじい努力でメジャー昇格を果たし、カージナルス、フィリーズで世界一に輝いた野球解説者・評論家の田口壮氏。そんな田口氏に2015年のMLBをたっぷり語ってもらいました。第2回は注目のMLBプレーヤー、そして日本人投手について伺いました。
2015/02/20
Kenji Yasuda/Photoraid
岩隈投手は調整が順調に進めば、防御率のタイトルもとれる可能性
――マリナーズの岩隈久志選手は、昨年は夏以降、打ちこまれました。微妙にコントロールがおかしくなったように思えましたが、いかがでしょうか?
田口 おそらく肩の体力の問題でしょうか? オープン戦で指を怪我して、トレーニングが十分にできず、その影響が夏場以降に出てきたのではないかと思います。キャンプは重要です。3月初めから最初に30球を投げて、次に45球、60球と球数を増やしていきます。シーズン初めには100球を投げられるようになって、そこから徐々に8月頃のピークへと上げていく。それがメジャーリーグの先発投手の1年です。昨年は怪我のためにそれができず、5月からマウンドに上がりました。春先に十分投げられなかったことが計算外だったのではないでしょうか。
――キャンプできっちり調整しないと、後半戦まではもたないわけですね。
田口 僕は投手ではないのではっきりとは言えませんが、そういうことだと思います。春先に球数を徐々に増やす調整をできなかった。スタミナがないから、シーズンに入っても90球くらいで降板していました。このときに我慢して100球くらいまで投げていれば……。投手に限らず、野手でもあることですが、力を温存しようとしてかえってへばってしまう。鍛えながら力を温存する分にはいいが、それをせずにセーブしていくと、いざというときに調子が上がらない、そういうのが起こることがあります。岩隈投手は、今年に関しては怪我さえなくきちんと調整できれば、15勝、18勝、もっと勝てる力を持っています。彼の制球力や、球の動かし方を見ると、投手のタイトルを取れるピッチャーだと思います。
――シカゴ・カブスの和田毅選手は?
田口 非常に打ちづらいまっすぐを持っているから期待はできます。ただ打者が慣れてきたときにどうなるか。昨年を見る限りでは、6回くらいに、本塁打を打たれる傾向がありました。そこをどう対策を練ってくるか楽しみです。
――テキサス・レンジャースに移籍した藤川球児選手はどうでしょう?
田口 トミー・ジョン手術をした肘がどこまでもどっているか?そこが心配です。しかしながら、今のテキサスをみているとリリーフ陣がいません。チームとしてみればやってもらわないと困ると思っているのではないでしょうか。ダルビッシュ投手と日本人二人で戦えますし、相乗効果が出てくるはずです。そして、彼の日本でのクローザーとしての技術や精神面が生かされてくる年になるでしょう。
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田口壮(たぐち・そう)
野球解説者/野球評論家
関西学院大学から1991年ドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブに入団。3年目の外野手転向を契機にレギュラーへ定着、イチローらとともに95年、96年のリーグ連覇(1996年は日本一)に貢献した。ゴールデングラブ賞を5度獲得。2002年MLBへ挑戦、セントルイス・カージナルスに入団する。その後フィラデルフィア・フィリーズ、シカゴ・カブスでプレー。2006年(カージナルス)、2008年(フィリーズ)で2度の世界一に輝く。2010年にオリックス・バファローズに復帰、2012年7月31日に引退を表明した。現在はNHKでMLBの野球解説などを担当している。TV出演を中心に、野球教室、講演、イベント出演など幅広く活動を展開している。
第3回は、2月21日更新予定です。