オークランド・アスレチックスに足りないのは「人情」だ!【田口壮の眼 第4回】
オリックス時代にはイチローとともに日本一に輝き、その後メジャーリーグではマイナーからすさまじい努力でメジャー昇格を果たし、カージナルス、フィリーズで世界一に輝いた野球解説者・評論家の田口壮氏。そんな田口氏に2015年のMLBをたっぷり語ってもらいました。最終回はいよいよ、今季のリーグ予想です。
2015/02/25
マーリンズは7年に1回くらい、突如優勝するチーム
――ナショナルリーグの注目球団を教えてください。
田口 マーリンズとカブスが面白いですね。マーリンズは、日本ではイチロー選手が入るということで注目されていますが、昨年あたりから仕上がってきています。マーリンズは新球場に移ってチーム名も変わった年に、強いチームを作ろうとして失敗し、良い選手を放出しました。そうしたらその後に若い選手が出てきた。結果的に、若手にチャンスを与えたことになったんですね。スタントンという柱になる選手も出てきました。それにエースのホセ・フェルナンデスが6月くらいに帰ってきます。あと1枚くらい先発投手がいれば盤石でしょう。
――マーリンズはこのところ下位に低迷して勝ち癖はついてないように思いますが?
田口 僕の中では7年に1回くらい勝つチームというイメージがあります(笑)。ずーっと弱くて突然勝つというチームですね。
――それに続いてシカゴ・カブスですか。
田口 マドン監督が入って大きく変化するのではないでしょうか。そしてジョン・レスターの加入。問題はカブスのあの設備や日程を考えると苦しい部分もありますね。
――カブスの本拠、リグレー・フィールドはMLBで2番目に古い球場ですし、未だにナイトゲームが少ないですからね。
田口 投手のところでさあ代打、といっても素振りをするスペースもないんです。それだけ老朽化が激しい。今、改装中のようですが、今年中に終わらないようです。条件的にはビジターも同じですが、選手の調整の仕方が難しいですね。
――ドジャースは相変わらず強いですか?
田口 面白いチームになるとは思います。しかし(盗塁王になった)ディー・ゴードンをマーリンズに放出した意図は、わからないですね。一方で良い動きとしてはハンリー・ラミレスを放出したこと。噂に聞くと、かなりムラっ気があるので、それに代わってジミー・ロリンズを入れたのはプラスでしょう。ベテランですが、まだまだ活躍できます。
――最後にそれぞれの地区の優勝予想をお願いします。まずはアメリカンリーグから。
田口 アリーグの西地区は、昨年の地区優勝、エンゼルスと補強により攻撃力が増したマリナーズの一騎打ちとなるのではないでしょうか。中地区は昨年地区2位ながらワイルドカードでワールドシリーズに進出したロイヤルズが優勝と予想します。東地区は補強したレッドソックスが独走もありえます。
――ナショナルリーグはいかがですか?
田口 ナリーグの西地区は昨年地区優勝のドジャースか、ワールドチャンピオンになったジャイアンツ、的確な補強をおこなったパドレスも優勝争いに加わってきそうな気がします。中地区はカージナルスとカブスのライバル球団の一騎打ちとなるかと思います。東地区は昨年の地区優勝ナショナルズ、コンスタントに強いブレーブス、戦力補強したマーリンズ、若い投手がのびているメッツ、と混戦が予想されます。最後までもつれる展開になりそうです。昨シーズンに比べて、まったく勢力図が変わったメジャーリーグ。今シーズンも目が離せない1年になりそうです。
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田口壮(たぐち・そう)
野球解説者/野球評論家
関西学院大学から1991年ドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブに入団。3年目の外野手転向を契機にレギュラーへ定着、イチローらとともに95年、96年のリーグ連覇(1996年は日本一)に貢献した。ゴールデングラブ賞を5度獲得。2002年MLBへ挑戦、セントルイス・カージナルスに入団する。その後フィラデルフィア・フィリーズ、シカゴ・カブスでプレー。2006年(カージナルス)、2008年(フィリーズ)で2度の世界一に輝く。2010年にオリックス・バファローズに復帰、2012年7月31日に引退を表明した。現在はNHKでMLBの野球解説などを担当している。TV出演を中心に、野球教室、講演、イベント出演など幅広く活動を展開している。
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