ダルビッシュ有のスライダーはMLBでも超一級品。“100マイル変化球投手”への期待【小宮山悟の眼】
オールスターブレイクの渡米では、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有のピッチングを観戦した。今回は生で見たダルビッシュの近況について話したい。
2017/07/28
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MLBはポストシーズンにトップギア
春先の滑り出しで「すごいな」と感じた選手が、シーズン終盤には「ものすごいな」となるのがメジャーリーグだ。選手には「10月に働かなきゃダメなんだ」という考えが刷り込まれていて、パフォーマンスはポストシーズンの方が高い。
一方、日本人選手は開幕で「すごいな」から始まるものの、中盤から後半にかけて「大丈夫かな?」と思うようなピッチングになる。日本は、レギュラーシーズン開幕から終了まで全力で頑張って、そこから日本シリーズに出ていく流れでやっている。7月まで普通にやってエンジンをかけて、10月にトップギアでいくメジャーリーガーとは少し異なっているのだ。
10月に活躍するメジャーリーガーは開幕から全力ではない。しかし、アベレージ以上のピッチングはする。だからスーパースターと言われるのだろう。クレイトン・カーショウ、マックス・シャーザーはずばぬけている。
ダルビッシュはトレードされるか否か、騒動の渦中にいる。その結果次第でも大きく変わるだろう。メジャーの中でも、能力の高さは認められている。多くの人が彼の名前を上げてコメントを出すくらいだ。私は本人には「100マイル(160.9キロ)を投げる変化球投手を目指せ」という話をよくしているのだが、その域に早く到達してもらいたい。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。