田中将大、肘の負担を減らす省エネ投法を実現させた2つの要素
3月12日、ブレーブスとのオープン戦に先発で今季初登板。2回を、打者6人でパーフェクトに抑えた。わずか19球で終えることができたのは、2つの要素があった。
2015/03/16
Getty Images
保存療法を選択した田中、手術を選択したダルビッシュ
昨年部分断裂したじん帯は、投球が可能なまでに回復した。一方で、裂けたじん帯は自然治癒はしない。今後も投球を続けていく中で、再び患部に痛みを覚えれば、その時には全治1年以上のトミー・ジョン手術が待っている。
ダルビッシュはそのリスクを嫌い、手術を決断した。手術表明会見では、じん帯の部分断裂ではなく、すり減っているだけで痛みはないと前置きした上で、「痛みがないなら、手術すべきではないという意見もあった。だが、もしじん帯が切れてしまったら、来年のシーズンもなくなってしまう。痛みを改善するためではなく、2シーズン棒に振ってしまう可能性があるから、それを避けるための手術です」と説明している。
一方で田中は昨年7月、部分断裂の具合が浅いことから、保存療法を選択した。手術という爆弾を抱えることを承知の上で。ブライアン・キャッシュマンGMも「いつ手術になっても、不思議なことではない。ただそれが1カ月後なのか、数年先なのか、いつになるかは全くわからない」と話す。
ならばできることは、肘にかかるストレスを可能な限り省くこと。試合での球数を減らすことは、そのための最善の策なわけだ。
すでにラリー・ロスチャイルド投手コーチは、田中や右膝手術明けのCC・サバシアらコンディションに不安を残す先発投手が多いことから、メジャーでは異例の先発6人制で臨むオプションを口にしている。これも、田中の右肘を健康に保つための一つの手段だ。
昨年は無傷の6連勝デビューを飾り、6月17日には両リーグ一番乗りで11勝目を挙げた。その時点でわずか1敗で貯金10。防御率は1.99とリーグでただ一人の1点台。故障までは文字通り無敵だった。コンディションさえ万全なら、メジャーでも屈指の実力の持ち主ということは、デビューからわずか2カ月の間に実証されている。
次回は18日(日本時間19日)のブレーブス戦に中5日で登板する。当初は中4日も検討されたが、ここでも首脳陣が大事を取った。細心の注意を払い、一歩ずつ階段を上がっていく。
キャンプイン前日の会見では米メディアからの肘の状態に関する質問が相次ぎ、田中は強い口調でこう語った。
「シーズンが進んでいくにつれて、僕が投げて勝つ、負ける、そっちのほうにフォーカスしてもらえるよう、頑張ります」
今は猜疑的な周囲の目。最高のパフォーマンスを示す必要も、まだない。あと1カ月を切った4月6日の開幕へ。慎重な実験の先に、完全復活の姿を見据えている。
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