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MLB屈指の“省エネ投手”岩隈久志の課題は「スタミナ」。今年はタイトル獲得のチャンスも!【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、岩隈久志の2015年についてだ。

2015/03/17

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Getty Images



岩隈の課題は「スタミナ」

 MLBでもトップクラスの投球精度を誇る岩隈にも課題がある。それは「スタミナ」だ。
 
 昨年の岩隈は、28試合に先発登板している。イニングごとに投球回数をまとめた(表の見方としては、28試合登板して1回での降板、2回での降板をしていないので、それぞれ28回投げていることになる)。
 
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 多くの先発投手にとって「鬼門」である立ち上がりを岩隈は無難に切り抜ける。3回、打順が一巡したころにピンチを迎える。
 そして球数が60球を超えた頃に打ち込まれることが多い(昨年の岩隈は1回あたりの投球数が14.20)のだ。四球も増える。
 これは、スタミナに起因していると思われる。5回前後に投球精度が甘くなるのだ。
 
 シーズン成績で見ても岩隈はスタミナに問題があることがわかる。
 岩隈の2006年以降の成績。投球回と投球数に注目していただきたい。
 
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 岩隈は、一流の先発投手の目安とされる200回、3000球を2年連続でクリアしたことはない。フルに働いた翌年は、必ず落ち込んでいる。
 肩、わき腹、背筋、指などを故障したからだが、そういった故障や前年の疲労などが原因で十分なトレーニングを行えなかった結果、スタミナが続かず不振に陥ることもある。
 
 岩隈はMLBに移籍してから厳格に球数を制限している。NPB時代に比べて1先発あたりの投球数は10球前後減っている。
 特に昨年は防御率のタイトルに手がかかりそうなレベルの高い投球を続けてきたが、9月に5回23.2回で29被安打自責点20、防御率7.61と大崩れした。チームはポストシーズン進出を狙っていたが、力になれなかった。
 
 田口壮氏はその原因について「(2014年の岩隈は)指の故障で出遅れ、キャンプで十分に投げ込みができなかった上に、シーズンに入ってからも90球くらいで降板していた。この時に我慢して100球くらいまで投げていれば。力を温存しようとしてかえってへばってしまう」と指摘した。
 コンディションが万全ではなかったために自重したことで、かえってスタミナがつかなかったのだ。先発投手には、シーズン中に球数を投げること自体がトレーニングになるのだ。
 
 今季の岩隈久志の不安要素はない。このまま開幕を迎え、球数を増やしていき8月、9月にピークを迎えるように調整してほしい。
 順調に行けば、岩隈久志はまだ日本人投手が一度も取ったことのない「防御率」のタイトルに手が届く可能性がある。そうなればマリナーズの14年ぶりのポストシーズン進出も現実味を帯びてくるだろう。
 
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