大谷が背負う十字架。エンゼルスで二刀流は不可能、球団の本音は投手専任か【小宮山悟の眼】
日米の両球界から大きな注目を集めた大谷翔平選手の移籍先がロサンゼルス・エンゼルスに決まった。メジャーでも異例の「二刀流」に挑むということだが、球団のチーム状況や環境を考慮すると実際に可能なのか。
2017/12/13
日本人選手への配慮がチーム選びの決め手か
おそらく大谷がチームを選定する上で重視したのは「日本人選手がいない球団」というのが大きかったと思う。メディアが自分のところに殺到することによって、他の日本人選手たちに迷惑をかけてはいけないという配慮だったのではないか。
さらにヤンキースのようなビッグクラブは、メディアの数が選手と同じくらいクラブハウスにいる。大谷の移籍によって、彼にメディアが集中する可能性もある。その場合、これまでスター選手に張り付いていたメディアがいなくなるとクラブハウス内が険悪な雰囲気になる。それは避けたいということで、スモールクラブとは言わないけれども、そこまでメディアがいないクラブを選んだのではないか。
そこで二刀流の継続を視野に入れると、日本ハムと同じDHのあるアメリカン・リーグでという考えに至ったのだろう。しかし、何度も言うように中4日であるメジャーでは同じようにいかない。登板のたびに2打席、3打席立てるナショナル・リーグの方が良かったのではないかというのが私の意見だ。
大谷の1年目に期待することは、とにかくけがなくやってほしいということ。日本にいるときよりも球をぶつけられる可能性も高いので、そういう危険性も含めて、けがだけはしないでほしい。
今までで渡米した選手の中で一番期待されているのは間違いない。二刀流をやりたいという希望を通したわけだから、ある程度結果を出さないといけないという十字架も背負っている。ボールへの対応もあるし、相当タフな1年になると思うが、力いっぱい応援したい。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。