ヤンキース新指揮官への期待感。田中将大との相性は? 実績ゼロも…前監督を反面教師に
ニューヨーク・ヤンキースの監督にアーロン・ブーン氏の就任が決まり、就任会見から1カ月がたった。指導者の経験はないが、首脳陣は新指揮官のコミュニケーション能力を高く評価し、チームの団結力向上につながるのではないかと期待を寄せているという。
2018/01/05
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前監督を反面教師に団結力向上へ
ジョー・ジラルディ前監督は昨季を最後に4年契約の最終年で契約満了となった。しかし、それはあくまでも形式上の話だ。本人に続投の意思があったにも関わらず、球団側はそれを突っぱねて契約を更新しなかった。つまり事実上の解任であった。
実に10年間に渡り、ヤンキースを指揮してきたジラルディ前監督だが、選手との関係性は必ずしも良かったとは言い切れない。発言内容がコロコロと変わり、それをメディアで知った選手たちは不信感を募らせる。そういう負の流れを引き起こし、チーム内に大小の軋轢を生じさせてしまったことはこれまで一度や二度ではない。
昨年のポストシーズン中には、チーム守護神のアロルディス・チャップマン投手がSNSに投稿されたジラルディ監督(当時)を批判するコメントに対し、自身のインスタグラムのアカウントから「いいね!」を押していたことも判明している。この時はすぐにチャップマンが謝罪して騒動は一応沈静化したものの、指揮官と選手の間に生じた火種は簡単には消えず、明らかにくすぶったままだった。
オーナーのハル・スタインブレナー氏やブライアン・キャッシュマンGMらが新たに迎え入れたブーン監督について「彼ならばチーム内で素晴らしい人間関係を構築できる」と口を揃えて絶賛しているのは、前任のジラルディ前監督の“失敗”を反面教師にしたいと考えているからに他ならない。
ちなみにチーム編成においてあらゆるデータ分析を行うMLBの球団ではここ最近、選手の能力値だけではなく性格や趣味など人間性まで参考材料にしている。人間性のデータ分析に関しては選手だけでなく監督やコーチも例外ではない。
チームの団結力を向上させ、ひいては全体の成績アップにつなげるためにも現場に携わる人間すべてにチェックを課さなければならないという理論だ。そういう観点からヤンキースにはジラルディ前監督ではなくブーン新監督を選んだ部分もあったと見ていいだろう。
日本人ファンとして最も気になるところは、やはり田中将大投手との関係。球団系列の地元テレビ局「YESネットワーク」が田中の4年連続となる今季開幕投手を危ぶむ予想を立てて物議を醸しているが、ブーン監督はどんな決断を下すか。
肝心要の手腕こそ未知数とはいえ、優れたコミュニケーターとして定評の高い新指揮官が田中にとってフィットできる新しいボスとなることを願いたい。