日本人マイナーリーガー、ただいま4人。この中からMLBの新たなスターは出てくるのか?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、マイナーリーグについてだ。
2015/03/24
Getty Images
MLBの傘下として巨大なマイナーリーグが存在
日本人MLB選手は毎年大きな話題になるが、実はMLB機構でプレーしているのは彼らだけではない。
マイナーリーグでも毎年、MLBを目指して日本人選手がプレーをしている。
MLBの傘下に巨大なマイナーリーグがあることはよく知られている。
2014年現在のMLB傘下のリーグ、チームはこのようになっている。その試合数も加えた。
MLBが2リーグ30チームなのに対し、マイナーは19リーグ263チームもある。ほぼ10倍だ。
メキシカン・リーグを除くすべてのマイナーリーグのチームは、MLB30球団のいずれかの傘下にある。それぞれのマイナーチームは独立採算性だから、提携関係だ。これをMLBでは「アフィリエイト」と言っている。
注目してほしいのは試合数だ。MLBは162試合、Aクラス以上は140試合以上。NPBと同じくらいの試合数を消化している。
しかもマイナーリーグはMLBよりも1カ月短い5カ月で行われる。150日の間に140試合以上を消化する。休みは月に2日程度しかない。
雨で流れればダブルヘッダーになる。1日に2試合して移動、翌日も昼から試合というケースもざらある。移動はバスだ。待遇はMLBとは比較にならないほど悪い。
この過酷なスケジュールの中で実力を発揮し、這い上がらなければならないのだ。
なおAAA級のメキシカン・リーグは、実質的にはメキシコのトップリーグだ。MLBを引退した選手や、メキシコ国内だけでプレーしてきた選手も多い。平均年齢は高い。他のマイナーリーグとは性格が異なっている。
SSA(ショートシーズンA)やRk(ルーキーリーグ)は、6月から3カ月間で56~78試合を消化する。
多くは10代の若い選手。基礎的なトレーニングを積みながら実戦経験を積み重ねていくが、教育目的ではない。常に成績を上げることを求められる。このレベルでふるいにかけられる選手もたくさんいるのだ。
MLBはベネズエラとドミニカ共和国にもマイナーリークを持っている。このリーグもRkの位置づけだが、ここで競争に勝ち抜かないとアメリカには進めない。
NPBに入ってくる選手はドラフトを通過した時点で、すでにエリートといってよい。毎年各球団から6~8人程度指名される選手の半数以上は、少なくとも一軍の試合に出場することはできる。
しかしMLBが1球団でドラフト指名する選手は50人。さらにドラフト外でも選手を取る。
こうした選手はマイナーリーグに送られる。ここからMLBを目指して競争をするのだ。MLBまで上り詰める選手は2割程度だ(ただし、すべての選手がルーキーリーグからスタートするわけではない。力があればAやAAのチームに入れられるケースもある)。