今オフの動きの遅さにメジャーリーガーも反感? 24年ぶりストライキの可能性も
2018/01/31
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動きが非常に遅くなっている今オフの米国の移籍市場。先発ナンバーワン評価のダルビッシュ有投手を始め、ジェイク・アリエッタ、J.D.マルティネスといった選手も所属先が決まっておらず、いよいよスプリング・トレーニングが開催される2月を迎えようとしている。
今回の遅れの要因として、各球団が来オフに備えて今オフの補強を控えていること、名物代理人のスコット・ボラス氏が好条件を引き出すために契約を先延ばしにしていることなどが上げられているが、選手間でも今オフの移籍の遅さは反感を買っているようだ。
米国・ワシントンの放送局「CBS・DC」では30日(日本時間31日)付で特集を掲載し、今オフの動きの遅さに対し、選手によるストライキが実施される可能性があることを報じた。
ロサンゼルス・ドジャースの守護神であるケンリー・ジャンセン投手はファン感謝祭で今オフの動きの遅さについて「ストライキを行い、今回の問題をしっかりと修正すべきだ。労働組合と共にこの問題に対処する必要がある」と話し、注目選手の去就すらも決まっていない現状を問題視した。
現在、米国でストライキは24年間実施されていないが、1994年8月から1995年2月まで232日間行われたスポーツ史上最長のストライキでは「サラリーキャップ制度」の導入が問題となり、同年はシーズンが途中で打ち切られてワールドシリーズも行われず、米国で伝説的な存在となっているベーブ・ルースの生誕100周年にストライキ続行という事態を危惧した当時のビル・クリントン大統領自らが調停に乗り出すなど大問題となった。
日本球界でも2004年の球界再編の際にストライキが行われ、球界だけでなく日本社会にも大きな衝撃を与えただけに、米国で行われた半年以上に渡るストライキは深刻なファン離れを引き起こすなど、球界に深刻な影響を残した。
米国では2002年にも労使協定が上手くまとまらずストライキの危機を迎えるなど、経営者側と選手会は対立を繰り返してきた。今回も経営者側の方針で選手の所属先などが脅かされていることもあり、選手会が今オフの問題に本腰を入れる可能性もあるようだ。
同記事では「新労使協定が制定されてから1年でのストライキは恐ろしい展開を招く可能性もある」と危惧しており、現段階では所属先が決まっていない選手たちによるスプリング・トレーニングの開催をスト回避の方法として支持している。
主力選手を大量放出しているマーリンズを戦力均衡の面から問題視し、金銭の用途を開示するよう求めるなど活発な活動を続けているMLB選手会。今オフの動きの遅さは選手からも反感を買っている事象なだけに、今後何らかの動きを見せる可能性が高そうだ。