リスクを伴う投資? MLB日本人投手との巨額契約
MLBでプレーした日本人投手のうち、17人は100万ドル以上の契約での渡米だった。しかしその多くは投資額に見合った成績を残せたかというと疑問符がつく。アメリカ現地記者が、日本人投手獲得に警鐘を鳴らしている。
2015/03/24
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日本人投手に対する厳しい評価
スポーツブログのポータルサイト『SBネーション』はマット・ゴールドマン記者による「日本人投手の市場への投資」という記事を掲載した。ダルビッシュ有がトミー・ジョン手術を受けたことにより、レンジャーズは彼および彼に投じた1億1170万ドル(ポスティングフィーを含む)のかなりの部分が「回収不能」になったと主張している。
さらに、ゴールドマン記者は2007年に渡米した松坂大輔以降、100万ドル以上の契約で海を渡った日本人投手20人を分析し、その活躍は投資額に見合ったものかを分析している。その記事での、ビッグネームの投手8人に対する評価は以下の通りだ。
松坂大輔
Matsuzaka was incredibly injury prone, spending a total of 491 days on the 15 and 60-day disabled lists. He threw just 83 innings for the Red Sox in the final two years of his contract, producing only a 0.1 fWAR. If the posting fee is con-sidered a part of the overall contract investment (which it absolutely should but is sometimes left out), the Red Sox spent $103.1 million on Dice-K for a contract length of six years. That averages out to an annual value of $17.18 million, meaning that the Red Sox essentially never saw a return on $34.36 million of that contract over his final two seasons.
松坂は信じられないくらい故障が多かった。故障者リストに累計で491日も載った。レッドソックスでの最終2年間は83イニングスしか投げておらず、fWARはわずか0.1だった。ポスティング費用も総投資額に含めると(そうすべきだが、よく見過ごされている)レッドソックスは1億300万ドルを松坂との6年契約に費やしている。年平均では1718万ドルだ。ということは、レッドソックスは最終2年間に3436万ドルを支払いながら、見返りはほぼゼロだったことになる。
fWARとはセイバー系サイト『ファングラフズ』が算出するWARのことだ。他にも『Baseball-Reference』が発表しているものもあり、こちらはrWARと呼ばれることが多い。そもそもWAR(War Above Replacement)とは、メジャー最低レベルの選手を起用した場合に比較し、どれだけ多くチームの勝利に貢献できたかを示す指標だ。「最終2年間で0.1」ということは、計算上その期間の貢献度はメジャー最低レベルに近かったことになる。
井川慶
The Yankees shelled out $26 million in posting fees and an additional $20 million for Igawa’s 5-year contract. While Dice-K is seen overall as a failure, Igawa is viewed as a disaster. He threw only 71.2 innings in MLB, which including the posting fee amounts to a jaw-dropping $1.54 million per inning pitched.
ヤンキースはポスティングに2600万ドル、さらに彼との5年契約に2000万ドル投資した。松坂は最終的に失敗だったが、井川の場合はそれ以上だった。結局メジャーでは71.2回しか投げておらず、1イニングあたり154万ドルとは空いた口がふさがらない。