ダルビッシュとカブスが結ばれた理由。敏腕社長に最高の指揮官。世界一へ理想の環境に
シカゴ・カブスは、ダルビッシュ有と契約に合意したことを発表した。停滞するMLBの移籍市場の中で、ダルビッシュの去就は注目を集めていたが、ついに正式に決定した。多くのオファーがあると報じられた中で、ダルビッシュはなぜカブスへの入団を決めたのか。その理由を探る。
2018/02/14
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王朝構築と勝てるチームでのプレー。互いの思惑が一致
エプスタインはレッドソックスのGM時代、チームを86年ぶりにワールドチャンピオンに導いたチーム作りの天才。2011年オフ、カブスはチーム再建のキーマンとしてエプスタインを招聘し、この男の腕に全てを託した。
就任3年目の2014年までは3年連続で負け越したものの、それは全てエプスタインの想定内だったはず。若手が着実に育ち、的確な補強にも成功。チーム力は徐々にアップしていき、2015年にはついにチームを7年ぶりのプレーオフへと導いた。
今回、ダルビッシュ獲得に最も熱心だったのが、このエプスタインだという。ダルビッシュと相性の良いヒメネス捕手を、事前にマイナー契約で獲得しておくなど、猛烈なアプローチで口説き落とした。
とは言え、今回の契約である年平均2100万ドル(約22億8000万円)は現地で予想されていた金額よりも低い。出来高払いやオプトアウト条項を加えて、金額を抑えた格好だ。この辺りのしたたかさも、いかにもエプスタインらしい。
エプスタインが球団フロントのキーマンであれば、現場のキーマンは監督のマドンだ。
2014年オフに監督に就任したマドンは、世界一というジグソーパズルを完成させる為の、まさに最後の1ピースだった。3度の最優秀監督賞を受賞した名将は、就任わずか2年目でカブスを頂点へと導いた。
マドンはコミュニケーション能力に優れた、大変ユニークな人物だと伝えられている。選手のモチベーションを上げる事に長けており、若手の起用も上手い。選手からの信頼も厚く、他球団の選手でさえ、マドンの元でプレーを望むという。選手の調整方法も尊重する為、ダルビッシュにとっては最高の上司となるはずだ。
王朝構築の為、先発の柱が必要であったカブスと、『勝てるチーム』でプレーを望んだダルビッシュ。
今回の契約は、まさに相思相愛と言えるだろう。