古くは明治2年、現在の経済効果は800億円以上も。メジャーリーグ春季キャンプの歴史
メジャーリーグでも春季キャンプがスタート。日本とは異なり、多くの試合を行う中で調整するのが主流だが、その歴史はどのようなものなのだろうか? また、現在ではレギュラーシーズン以上に人気を集めるため、莫大な経済効果を生んでいるという。
2018/02/16
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土方歳三の戦死と同年には実施。驚くべき歴史
2月13日(日本時間14日)にピッチャーとキャッチャーがキャンプ地入りし、いよいよメジャーリーグの春季キャンプが始まった。10日後の2月23日には早くもオープン戦の初戦が行われ、それ以降は4月第1週の公式リーグ戦開幕までの間、ほぼ毎日のように試合が予定されている。
そのような過密日程が可能なのは、メジャーリーグ全30球団のうち半分の15球団がフロリダ、残り半分の15球団がアリゾナに集まり、春季キャンプ期間中だけのリーグを形成するからである。フロリダがグレープフルーツ・リーグ、アリゾナがカクタス・リーグと呼ばれ、それぞれのリーグ内でオープン戦を行う。ちなみにカクタスとはサボテンのこと。
職業野球チームが公式シーズン前の一定期間に選手を集めてキャンプを行うようになったのはいつなのかについては諸説があるが、1870年にシンシナティ・レッドストッキングス(現レッズ)とシカゴ・ホワイトストッキングス(現カブス)がニューオーリンズで行った記録がある。日本では明治2年のことなのだから驚くしかない。何しろ、戊辰戦争が終わり土方歳三が函館郊外で戦死したのと同年なのだ。
第2次大戦までのメジャーリーグの球団はアメリカ東海岸や中西部に集中しており、これらの地域の冬は長く、寒さが厳しい。自然、他のチームもまだ寒いシーズン前に暖かい土地か、あるいは屋内施設でキャンプを行うことが慣例になってきた。
例えば、ベーブ・ルースはレッドソックス時代の1918年にアーカンソー州ホットスプリングでのオープン戦で174メートルの特大ホームランを放ったと伝えられているし、ニューヨーク・ヤンキースに在籍していた1925年から1934年までの間はフロリダ州セントピーターズバーグでの春季キャンプに毎年参加していた。ヤンキースは現在でもそのすぐ近くのタンパ市でキャンプを行っている。