ダルビッシュ有は「20勝も可能」。カブス強力打線の援護で世界一の目標に理想的【小宮山悟の眼】
ロサンゼルス・ドジャースからフリーエージェント(FA)となっていたダルビッシュ有投手の移籍先がシカゴ・カブスに決定した。今回は、ダルビッシュがカブスでどのような役割を果たすか考えたい。
2018/02/18
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WS日本人対決の可能性、大型契約は高い評価の表れ
ダルビッシュがそれだけ勝てれば、カブスはナ・リーグのセントラルの優勝候補になるのはほぼ確実だ。ポストシーズンに進んで、リーグチャンピオンになれるか。補強がうまく進んでいるサンフランシスコ・ジャイアンツ、ドジャース、ワシントン・ナショナルズがライバルとなるが、私はかなり高い確率でワールドシリーズ(WS)に進出できると思っている。
昨年のWS最終戦、ダルビッシュが打ち込まれてチームは敗れた。「もう一度、同じ舞台で投げたい」という当時の彼の言葉に対して、私は「経験は糧になると思うが、同じ状況でWSで投げるチャンスがあるかどうかは難しい」と予想した。しかし、今回の移籍によって、もう一度WSで投げるチャンスがあるカブスに入団できたと言える。
アメリカン・リーグは、ジャンカルロ・スタントンを獲得したニューヨーク・ヤンキースがリーグチャンピオンの最右翼だ。ダルビッシュと田中将大の投げ合いが見られる可能性もある。日本人同士がワールドチャンピオンを巡って戦う。そんなシーズンファイナルを見たいものだ。
契約について考えると、6年という契約年数を勝ちとれたことは大きい。
ダルビッシュの投球スタイルは、どちらかというとパワーピッチャーに近い。ストレートとスライダーを軸にするパワーピッチャーはある程度の年齢に達するとガクッと力が落ちる可能性が否めない。加齢とともに壁にぶつかると言える。そんな中での6年契約。ダルビッシュは「まだ伸びる素材」と認められたのだろう。
選手側にとって6年間保障されているのは大きい。契約にはオプトアウト(契約破棄)の権利や、トレード拒否条項も盛り込まれていると伝えられている。
ダルビッシュのかつてのコメントを思い返すと「最初で最後のFA交渉になるので悩むと思う。時間をかけてじっくり考える」ということだった。カブスと契約を結び、後先考えずにすべてを終わりにするぐらいの心づもりはあるだろう。この6年を全力でやりきるはずだ。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。