牧田と平野に立ちはだかる最大の壁。日本人リリーフがメジャーで成功するポイントは?【小宮山悟の眼】
メジャーリーグのスプリングトレーニングが始まった。まだ日本人選手の中には未契約選手もいるが、今回はメジャーに舞台を移した2人のリリーバー、牧田和久(パドレス)と平野佳寿(ダイヤモンドバックス)の成功ポイントについて話したい。
2018/02/22
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鍵握るブルペン調整法の違い
牧田と平野が所属するチームの監督はいずれも日本での野球経験がある。指揮官が異国の地でプレーすることの難しさを知っているため、2人に気を遣ってくれるだろうし、大きなアドバンテージになるはずだ。
メジャーで成功を収めるには、日本とは異なる文化にいかに適応するかがポイントになる。
まずはボールだ。日本人選手が米球界に挑戦するたびに語られるため、多くの人が理解しているだろう。メジャー公式球は、日本のボールとは違って滑りやすい。いかに慣れることができるか。ボールがフィットするように手のひらや指先の皮膚を普段からケアして、イメージ通りのボールを投げられる努力をしなければいけない。
さらに、ボールへの対応以上にリリーバーの調整法への適応が重要になる。
日本とメジャーではブルペンの調整法が全く異なるのだ。日本のチームでは、登板するかどうかにかかわらず、試合が始まるとまず肩を温める。そして、試合展開によって肩をつくり直す。登板までに2度、3度と肩をつくり、「準備を怠らない」という方針だ。
一方のメジャーは、多くの球団が「登板の可能性があるとき以外はブルペンでピッチングしない」方針だ。スペシャリストの域だと、「次の打者に合わせろ」と言われてからでもアジャストできるレベルだ。これがメジャーのリリーバーにとってのスタンダート。だが、牧田と平野は、10年近く日本球界で球数を費やして準備してきた。急に変更するのは相当難しい。
スプリングトレーニングやオープン戦は、ブルペンでの調整法の適応に時間を割くことになる。現段階で首脳陣とどの程度の意見交換がなされているかはわからないが、すでにメジャーでの調整法を伝えてもらっていたならやりやすいだろう。