100万円以下の年収がさらに…苦境のマイナーリーグ。トランプ政権の追認でより過酷に?
想像を絶する金額の契約が連日報じられるMLBだが、その舞台を目指すマイナーリーガーの環境は過酷だ。これまでも年収100万円以下という選手も少なくない状況だったが、米政府の追認によってさらに過酷な状況に追い込まれる可能性が浮上している。
2018/03/25
Getty Images
日本プロ野球の2軍は恵まれた環境
仮に法定最低賃金の月額1,160ドルが保障されたとしても、支給されるのはシーズンがある4月から9月までの間に過ぎない。約160日間のシーズンで140ゲームをこなし、長距離バスや格安航空便での過酷な移動に耐え、それでも年収は100万円以下、というのが多くのマイナーリーガーの現実なのだ。
当然、野球だけでは生活が成り立たず、選手の多くはシーズンオフに副業をこなすか、配偶者や恋人の収入に頼ることになる。メジャーに昇格することなく引退していく選手の多くは野球の実力不足の前に生活苦から夢をあきらめる。
世界最強の労働組合と呼ばれるメジャーリーグ選手会も彼らの助けにはならない。メジャー選手会に入会資格があるのは、各チーム40人ロースターに入っているメジャーリーガーのみだからだ。
ひるがえって日本プロ野球の事情はどうか。2軍支配下選手の最低保証年俸は440万円、育成選手は240万円である。1軍のスター選手が手にする大金とは比べようもないが、独身の選手なら生活は出来る金額とは言えそうだ。少なくとも同レベルのマイナー選手よりはるかに金銭的な待遇は良い。
100億円、200億円と言った巨額契約がしばしば報道されるように、一般的にメジャーリーグは日本プロ野球の1軍より年俸が高い。その代わり、日本プロ野球の2軍以下はマイナーリーグより恵まれた環境のようだ。
どうやらキャリアが浅い若い時期に日本プロ野球のファームで生活を保証されたうえで腕を磨くことが、マイナーリーグに挑戦するより、野球選手にとって経済的合理性が高く安全なキャリアパスなのかもしれない。
角谷剛【アーバイン】