メジャー速球ランキングに異変。チャップマンの牙城破る21歳新星の登場か
2018/04/21
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1Aの成績は傑出せず、カージナルス首脳陣の先見の明
驚くべきことは1Aでも特に傑出した成績を残したわけではない。2017年シーズン通算で8勝3敗、防御率2.82、105イニングで95奪三振。決して悪くはないが、2A、3Aを飛び越えて大抜擢するほどの成績ではない。しかし、ヒックスはオープン戦で7イニング8奪三振の好投を見せ、開幕25人の枠に入った。今のところ中継ぎとしての役目をしっかり果たしている。
ヒックスは身長188センチ、体重84キロとメジャーリーグの投手としては小柄な方。チャップマンのような長い腕もなければ、ノア・シンダーガードのような筋肉質な身体でもない。大谷翔平、ダルビッシュ有、田中将大ら日本人メジャー投手より、体格は劣る。マイナーでの成績も体格も目立たないヒックスを抜擢したカージナルス首脳陣の判断は賞賛されるべきだろう。
普段なら注目を集めることが少ない中継ぎ投手という立場にもかかわらず、ヒックスの存在にスポットライトをあてた「Statcast」。野球を観る上でファンに新しい楽しみを与えてくれている。
最多勝投手や本塁打王などシーズンを通した個人成績が注目されるが、Statcastは「誰が一番速い速球を投げるか」、「誰が一番遠くにホームランを飛ばすか」、「誰が一番足が速いか」、などといった根源的とも言うべき興味をかきたててくれる。
大谷翔平は4月20日現在、この「Statcast」投球最高速度部門と最長本塁打部門の両方でトップ50位に入っている。「Statcast」は比類のない投打二刀流としての存在を評価する新たな指標にもなるだろう。
文・角谷剛