パイレーツ26歳右腕がデビュー戦であわや史上初の偉業 マイナー8年の末に夢舞台で躍動
2018/04/30
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強打のカージナルス打線相手に快投
ピッツバーグ・パイレーツのニック・キングハム投手が29日(日本時間30日)に本拠地PNCパークで行われたセントルイス・カージナルス戦でメジャー初登板し、歴史的な記録が生まれそうになった。
キングハムは、7回2死までカージナルス打線から1人のランナーも許さない投球。メジャー史上誰も達成したことのない「初登板完全試合」の偉業に向けて、1つのアウトを重ねるにつれて注目度が高くなっていった。
惜しくも3番のポール・デヨング内野手に左前安打を打たれ、この回で降板したが、7回1安打9奪三振というこの上ない鮮烈なデビュー。パイレーツはそのまま5-0で勝利し、キングハムは嬉しいメジャー初勝利を飾った。
完全試合達成とはならなかったが、ちなみにデビュー戦でのノーヒット・ノーランになると、なんと126年前の1892年にバンプス・ジョーンズという投手が達成したと記録されている。
2015年にトミー・ジョン手術を経験
キングハムは現在26歳。2010年に高卒ルーキーとしてドラフト4巡目(全体117位)でパイレーツに入団。この日のメジャーデビューまで8年を要しているわけだが、その理由はケガにある。
最初の3年間でルーキーリーグから3Aまで順調に昇格していったが、2015年のシーズン開始直後に肘を故障。トミー・ジョン手術(右肘側副靭帯再建手術)を経て、その年は結局わずか6試合の出場で終わり、翌2016年はルーキーリーグからの再出発を余儀なくされたのだ。
2017年には再び3Aに昇格。2018年シーズンも3Aで開幕を迎えたが、2勝1敗、防御率1.59と好投を続けて4月29日にメジャー昇格を果たすと、同日に先発投手として起用され、いきなりこの日の快投を見せた。
キングハムは身長約198センチ、体重102キロ。恵まれた体格から投げ下ろす速球とチェンジアップが主な武器だ。苦節とも呼んでいい8年間の長いマイナー生活を経たが、自身は「その経験こそが自分と言う人間を作った」と前向き。現在ナショナル・リーグ中地区首位と好調のパイレーツに頼もしい戦力が加わった。